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「周囲の支えに救われた」 関係者がコロナ感染、福山の飲食店

2021/4/2 22:59
開店前に準備する佐々木さん。カウンターに仕切り板を置くなど感染対策に気を配る

開店前に準備する佐々木さん。カウンターに仕切り板を置くなど感染対策に気を配る

 福山市内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて2日で1年を迎えた。売り上げの低迷に直面する飲食店の中には、関係者が感染して長期休業するなど、さらなる苦境に見舞われた例もある。2人の経営者は感染を食い止めようと店名を公表。悩みながらも「周囲の支えのおかげで立ち直れた」と感謝を口にする。

 昨年夏にクラスター(感染者集団)が発生した市内の飲食店。経営者の佐々木康人さん(49)は自身も感染し、18日間入院した。体調に異変を感じたのは、第2波が拡大する直前の昨年7月中旬。仕事中に発熱し、体のだるさを感じた。すぐに接客や調理から離れ、翌日から店を休業した。その次の日にPCR検査を受け、陽性が判明した。

 市を通じて店名を公表し、連絡先の分かる来店客に電話で知らせた。家族や従業員、客の感染が次々と明らかになった。「感染経路は思い当たらないが、自分が原因だとしたら…」。隔離された病室で「申し訳なさが募り、思い詰めた」という。

 退院後も「誰かにうつすかもしれない」と、1カ月近く外出できなかった。「遊び歩いて感染したらしい」という自身の誤ったうわさも聞こえてきた。「人に会うのが怖い」。営業再開の日が近づくと、先延ばしにしようかと悩んだ。

 しかし思い切って再開すると、すぐに心配は消えた。常連客たちが変わらず来店し、励ましてくれた。「いつ誰が感染するか分からない。周囲の支えで救われることも知ってほしい」。近く店のホームページに体験を記すつもりだ。「ウイルスの正しい情報や理解が広まり、苦しむ感染者が減ってほしい」と願う。

 昨年7月、従業員1人が感染した別の飲食店の店主後藤範光さん(45)も店名を公表した。常連客の中には「あの店には行かない方がいい」と露骨に言われた人もいたという。

 長引くコロナ禍で売り上げはまだ昨年の同時期の半分ほどしか戻っていない。それでも「きちんと対応したことで、多くの人に信頼してもらえた」と振り返る。「家族や仲間と楽しく過ごせる外食の場をなくしてはいけない」と前を向く。(村上和生) 

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