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声掛け避難、犠牲者ゼロ 松江市島根町火災、住民同士の強い結びつき

2021/4/3 20:52
民家の全焼など計32棟が焼けた火災現場を見つめる地元住民(3日)

民家の全焼など計32棟が焼けた火災現場を見つめる地元住民(3日)

 松江市島根町加賀にある大津地区の多くの民家が全焼した惨事で、死者や行方不明の犠牲を免れた背景には、住民同士の助け合いがあった。人口減少が急速に進み、高齢者が多い過疎の集落。平日の夕方に発生した当時、互いに声を掛け合って避難し、猛火を免れた。

 島根町は、今月1日施行の新過疎法で「一部過疎」に指定された。加賀の大津地区でも高齢者の1人暮らし世帯や、日中は現役世代や若者が市中心部などに働きに出ている世帯が多い。

 当日の1日午後5時ごろ、強風にあおられた火が瞬く間に次から次へと住宅に燃え移った。自宅にいた60代男性は「一人一人が自然と避難を呼び掛けていた。火の勢いが強くてみんな必死だった」と振り返る。付近にいた住民たちは大津集会所に避難した。

 集まった住民の点呼を取り、誰がいないかを把握する徹底ぶり。車いすを使う高齢者の避難にもつなげた。男性は「みんな昔からの付き合い。親戚みたいなもの」と、普段のつながりが生きたと実感した。

 避難先となった島根公民館の田中豊館長(66)は「漁師町で昔から団結するような精神が根付いている。風も強くあれほど大規模な火災で亡くなった方がいなかったのは、地域の結びつきの強さの表れ」と話す。

 避難者は最大で18世帯54人。ここでも声を掛け合う姿があり、大きな混乱もなかったという。21世帯47人は自宅を失った。田中館長は「これから被災した方の生活再建が大切になる。地域で助け合い、支援を続けたい」と力を込めた。(高橋良輔)

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