若者の自殺が減らない コロナ禍…悩み発散の機会失われ 広島県内
広島県内で若者の自殺者が減らない。全体では減少傾向にあるが、20代以下は60人前後で横ばいが続き、今後は新型コロナウイルス禍の影響も懸念される。4月は就職や進学で生活環境が変わる若者も多い。専門家は「つらい気持ちを抱え込まず、信頼できる人や相談窓口に話してほしい」と呼び掛ける。
警察庁の統計では、県内の自殺者数は468人だった2017年から毎年減少し、昨年は430人(前年比10人減)。一方、29歳以下でみると、17年の57人から18年は50人にいったん減ったものの、19年は66人と増加に転じ、昨年も65人だった。男女別では昨年、女性が152人と前年から20人増えた。
県健康対策課は「総数が毎年減る中で、人口自体が少ない若者の自殺が減っていない」と指摘。昨年、全国では10、20代や女性の自殺者増が顕著だった。同課は「広島でも今後、コロナの影響が出てくることはあり得る」と緊張感を保つ。
県は昨年5月、自殺防止対策として39歳以下の若者向けと、コロナ禍でストレスを感じる人向けにそれぞれ、無料通信アプリLINE(ライン)の相談窓口を開設。1月末までに延べ計3861件の相談があり、女性が8割を占めた。外出自粛や人間関係の狭まりを背景に「家で暴力を受ける」「恋愛や結婚ができない」などの深刻な悩みが寄せられたという。
コロナ禍で高まる若者層の閉塞(へいそく)感。NPO法人小さな一歩・ネットワークひろしま(広島市西区)の米山容子代表は「リアルな場面で悩みを発散する機会が減っている」と心配する。突然自殺した若者の親からの相談もあったという。
広島大名誉教授で臨床心理士・公認心理師の岡本祐子さんは「若者や女性は、相対的に安定した職業に就いていない人が多く、コロナ禍の影響を受けやすい」と指摘。「悩んでいる人には『心配している』と伝えてほしい。相談を抱えきれないと思ったら、専門職につないで」と話している。(高本友子)
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