地域ニュース

江戸期の砂留、新たに195基 福山藩の砂防事業伝える土木遺産

2021/4/7 20:56
新たに見つかった砂留周辺の落ち葉や草を取り除く地元の住民たち

新たに見つかった砂留周辺の落ち葉や草を取り除く地元の住民たち

 土石流を防ぐため江戸期に造られた砂防施設「砂留(すなどめ)」が、福山市芦田町下有地周辺の大谷地区に新たに195基あることが地元住民や専門家による現地調査で分かった。市がこれまでに把握していたのは市内の計72基で、歴史に埋もれた砂留が多数ある実態が浮き彫りになった。地元住民たちは、福山藩の砂防事業を伝える土木遺産「芦田大谷砂留」として認知度を高める。

 地元の約30人でつくる「芦田大谷砂留守り隊」のメンバーや岡山大大学院の樋口輝久准教授(土木史)が、昨年12月から今年3月まで計14回の現地調査を重ねて見つけた。現場の大谷山周辺は谷が狭く急斜面で、草木をかき分けて岩肌を登りながら探索。砂留は谷地形に沿ってV字形に形成されたり、等高線に沿って造られたりしていた。

 今回見つかった最も大きい砂留は全長8・3メートル、高さ2・9メートル。衛星利用測位システム(GPS)測量などで確認した樋口准教授は「これだけ多くの砂留があることに驚いた。他の地区の砂留と比べて修復された箇所も少なく貴重」とする。「大谷山が福山藩にとって重要な山であったことが分かる」とし、引き続き調査にあたる。

 市文化振興課が把握する市内の主な砂留は計72基。大谷地区では7基が既に知られていたが、今回の発見で計202基となり市内で最多規模になった。現地調査に同行した同課は「今後も調査が進むと思うので、成果を見守りたい」とする。

 同地区では2016年から本格的な探索を始め、17年11月に守り隊を結成。農閑期を中心に、全容をつかむため草木の伐採や道路整備などを進めてきた。

 守り隊隊長の村田政雄さん(69)は「砂留の発見は高齢化が進む地域の活力になる。交流の場として、看板の設置やパンフレットの作製など情報発信していきたい」としている。(滝尾明日香)

 <クリック>福山藩の砂留 江戸期に福山藩が土石流を防ぐために築造した石積みの砂防ダム。福山市内では堂々川砂留(神辺町)の一部が国の登録有形文化財に、大谷地区に近い別所砂留(芦田町)が土木学会の選奨土木遺産になっている。地形が険しく土砂が流入しやすい花こう岩のエリアで大雨の被害を受けやすいため、整備が進んだとされる。


この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

同じ日のニュースの記事
一覧