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山口県の島にコロナ疎開、島民困惑 キャンプ場客急増/道の駅に他県ナンバー(2020年4月21日掲載)

2020/4/21 9:10
緊急事態宣言が全国に拡大されてから初の日曜日の19日も多くの車で埋まった道の駅サザンセトとうわ

緊急事態宣言が全国に拡大されてから初の日曜日の19日も多くの車で埋まった道の駅サザンセトとうわ

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、人が少なく自然豊かな山口県内の島へ「コロナ疎開」する観光客に島民が困惑している。広島に近い周防大島では来島者が急増。高齢者が多く病院もない離島では自治会が来島自粛を呼び掛けるなど波紋が広がっている。

 周防大島町の片添ケ浜海浜公園オートキャンプ場は3月の利用が1915人と前年比6割増。3月初旬からの一斉休校を機に平日も親子連れなどの客が途切れず、週末は全86サイトが埋まった。町は、来島者を呼び込みかねないと4月18日にキャンプ場を閉鎖した。

 同町の道の駅サザンセトとうわも広島や関西、首都圏ナンバーの車が目立ち、3月は例年以上ににぎわった。全国に緊急事態宣言が拡大されて初の週末となった18、19日も駐車場は7割程度が埋まった。

 ▽「街中は怖い」

 東広島市から家族と訪れたパート女性(32)は「子どもを外に出してやりたいが、街中の複合施設は怖くて行けない。島なら人が少ないと思って」と語った。デートで訪れた広島市中区の会社員男性(23)は「広島は人が多く危ない。だけど、ここも思ったより人がいるので怖い」と話した。

 道の駅は観光だけでなく、スーパーの少ない過疎地の高齢者の買い物先や農産物の販売所という生活インフラの役割も担う。岡崎竜一支配人は「大島大橋の事故から復興する中で多くの人が来てくれるのは本来はありがたいことだが、このままでは住民や従業員の安全を守れない。高齢者が多い島で感染の発生元になるのを防がないと」と苦悩する。町は道の駅も25日から閉鎖することを決めた。

 響灘に掛かる角島大橋がインスタ映えの名所として海外にも知られる下関市の角島でも観光客が絶えない。島内の土産物店の店員は「本土とつなぐ橋を封鎖するわけにもいかず、怖いから常に車のナンバーを見てしまう」と明かす。隣の福岡県をはじめ首都圏や関西、北海道のものも。「物が売れるわけでもなく、ぶらぶらと長時間、気分転換している客が多い」と話す。島内の市の観光施設「しおかぜの里角島」も20日から休館となった。

 ▽常駐医おらず

 高齢化が著しい離島では感染への懸念が日増しに高まる。上関町の祝島(高齢化率77・0%)と八島(同90・5%)柳井市の平郡島(同79・4%)の各自治会などは本土側の船着き場の待合所に不要不急の来島自粛を求める文書を張った。

 例年ならアジやメバルを狙う釣り客が増えるシーズン。上関の2島には常駐医もおらず、祝島の木村力自治会長(72)は「島内や定期船の船員が感染すれば、物資の輸送が絶たれる死活問題。島外の家族にも帰るなと言っている」と訴える。

 島内のある飲食店は島外の客には持ち帰りだけの対応とする張り紙を入り口に掲げる。店長は「本意ではないが、今は島のお年寄りのために少しでもリスクを避けたい。狭い島で発症したら大変なことになる」と苦しい胸の内を吐露する。

 平郡島も例年に比べ、福岡や兵庫からの来島が目立つ。平郡西連合自治会の和田正裕会長(71)は「普段は島おこしのために来島を呼び掛けており、勝手なお願いとも思うが、今だけは避けてほしい」と訴える。

 キャンプ場がある馬島(田布施町)と佐合島(平生町)を回る定期船の3月の利用者は1625人と前年同月より2割以上増加。馬島自治会の西村光昭会長(75)は「町外からの利用が増えている」と懸念し、来島自粛を求めている。(余村泰樹、堀晋也) 


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  • 馬島に渡る定期船の待合所に張られた来島自粛を求める文書

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