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豪雨被災者宅、若さで夢醸す 呉市安浦の市原集落、災害ボランティアが縁でビール造りへ

2021/4/14 21:03
加川さんの家の前で、ビールのイメージ図を手にする西原さん(左)と藤戸さん

加川さんの家の前で、ビールのイメージ図を手にする西原さん(左)と藤戸さん

 呉市安浦町の市原集落の住民で、2018年7月の西日本豪雨で亡くなった加川和見さん=当時(66)=の自宅が、クラフトビールの醸造所に生まれ変わる。かつて災害ボランティアとして集落で活動した20代の若手経営者たちが、加川さんの妻いづみさん(65)の協力を得て挑戦する。

 西日本豪雨で、宅地や田畑など広範囲に大きな被害の出た市原集落。住民たちにも見守られ、加川さん宅の改修にハンマーを振るうのは、廿日市市在住の西原総司さん(21)。全国各地のクラフトビールが味わえる店を広島市南区で営むほか、ネット販売する会社も経営する。

 消防団員だった加川さんは豪雨の夜、近所に土のうを積みに出掛け、土石流に流された。「最後まで人のために生きた人。大きな責任を感じます」と西原さん。ビール造りの夢を共有する副社長の藤戸淳平さん(23)=横浜市=も駆け付け、汗を流している。

 西原さんは6〜16歳を福山市で過ごした。豪雨当時は出身地の横浜市に住んでいたが、居ても立ってもいられず、翌月に集落に入り土砂撤去のボランティアをした。その後も集会に顔を出すなど、住民との縁は続いた。

 昨年起業し、夢だったビールを醸造から手掛ける場所を探していたところ、住民の紹介で、集落を離れて暮らすいづみさんと出会った。「思い出の場所が夢のかなう場所になり、市原のためにもなるなら」と背中を押してくれたという。

 家の半分は醸造所に、半分はいろりを囲むカフェにする計画。ビールのレシピは作成済みで、ヒマワリの種を使うなどさっぱりとした味にした。名前は市原の頭文字を取った「IBブリューイング」。クラウドファンディングのサイト「キャンプファイヤー」でも資金を募り(5月28日まで)、来年1月の初出荷を目指す。

 西原さんは「将来的には畑にヒマワリを植え、地産地消を目指す。加川さんの愛した市原に、人が集まるようにしたい」と熱く語る。集落で最初の1本は、晩酌で必ずビールを飲んだという加川さんの霊前に供えるつもりだ。(池本泰尚)

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定点写真 被災地の姿


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