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生徒みんなで校則変えた 広島・安田女子中高の挑戦

2021/4/18 9:00

校則に対する意見を付箋に書き、内容に応じて分類した資料を示す有志メンバー(2020年9月30日、広島市中区)

 校則を変えるなんて、どうせ無理だと思ってた―。広島市中区の安田女子中高の生徒が進めてきた校則の見直しが、この春、実現した。規律を重んじる校風で知られる伝統校。それだけに、ルール緩和は困難と思われた。しかし、「みんなで考えて変える」にこだわり生徒は奮闘した。

 みんなの校則データベース

 「なんで、こんな決まりがあるん?」。2020年9月、中高の生徒有志20人が校則への疑問をぶつけ合っていた。話題は三つの禁止事項。スマートフォンの持参▽放課後の寄り道▽保護者の同伴なしにカラオケやゲームセンターなどへ行くこと―だ。中学と高校の校則は、ほぼ同じという。

 「塾へ行く前にコンビニへ寄ることの何がいけんの?」「理由が分からなくても、何となく守ってきた」「納得いくルールにしたいよね」。生徒は、改定案をまとめようとしていた。

 見直しの動きは19年12月に始まった。経済産業省の委託事業で、東京のNPO法人が企画した「ルールメイカー育成プロジェクト」のモデル校に選ばれたのがきっかけだ。校則改定を通し、課題を見つけ、解決を図る力を育む試みだった。

 生徒に求められる資質として主体性が重視される今、細かな校則が一部、時代に合っていないとの懸念は、学校側にもあった。モデル校となり、生徒の背中を押すと、有志がグループを結成し、活動を始めた。

 有志グループが意識したのは「過程の見える化」。どの校則を見直すのかは全校生徒にアンケートをして決めた。廊下に紙を貼り、生徒が自由に意見を書き込んだり、シールを貼って賛意を表したりできるようにした。生徒や先生の目に留まりやすい場所で会議を重ね、本気度を示した。

【写真】生徒が変えたいテーマにシールを貼った結果

 メンバーの一人、高校3年花本奈月さんは「誰かが変えた、先生が変えた、というのでは意味がない。みんなで変えたという背景があってこそ、責任を持って守れるようになると考えた」と振り返る。

 多様な視点を得ようと、大人との対話も深めた。保護者へのアンケートを実施したり、弁護士を招いてルールの在り方を学んだりした。警察関係者にもインタビューし、10代を取り巻く犯罪や非行の現状を知った。

 ルールが緩和されれば、生徒が負う責任も増すと考え、行動指針もまとめた。自分を律し、自分を愛する/「礼儀、品、やさしさ」を大切に―。

 メンバーは20年12月、学校に、スマホ持参など三つの禁止事項について学校側に容認を求める提案をした。議論の過程や、学んだことも精いっぱい伝えた。学校は要求を受け入れた。改めた校則を、21年4月から試行している。

 「何も変わらないって諦めていた」

 「生徒が声を上げても、どうせ何も変わらないって諦めていた。何が正解か分からなかったけど、全力を尽くせた。達成感でいっぱいだ」と、メンバーの花本さん。「これでおしまいではなく、点検もしていきたい」と気を引き締めた。

 リーダーを務めた高校3年田中心結(みゆ)さんは「活動を通し、内気な子も下級生も、周囲と違う意見のある子も堂々と発言できるようになった」と振り返る。さらに、こう力を込めた。「いろんな考えがあっていい、という雰囲気が生まれた。この学校の未来がとても楽しみです」(奥田美奈子)

 「校則、時代に合わない部分ある」 安田女子中高の安田校長補佐


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