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広島駅周辺にオフィス需要 20階建てビルや郵便局建て替え… 中心街の空室減が背景【スコープ】(2018年7月31日掲載)

2018/7/31 10:40

 JR広島駅(広島市南区)周辺がオフィス街として存在感を高めている。駅前再開発の主役はこれまでマンションや商業施設だったが、今は高層オフィスビルの新築計画が目立つ。背景には、中区紙屋町・八丁堀など中心街の空室の減少がある。駅周辺と中心街が競い、共に発展することが、広島の拠点性の向上につながる。

 広島駅北口エリアの通称「エキキタ」で、20階建てのビルが2019年3月の完成に向け姿を現しつつある。3〜11階に20〜30社のオフィスが入る。長距離バスの発着場もできる。

 このビルで企業の誘致を手掛ける不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE)広島支店は「全国大手や地場企業など幅広く引き合いがある。鉄道はもちろん、車で広域の営業ができる」とアピールする。駐車場を確保しやすく、駅前と山陽自動車道をつなぐ広島高速5号の開通を控えるからだ。

 ▽人手不足も一因

 駅南口にある築約60年の広島東郵便局。日本郵政グループの日本郵政不動産(東京)は、23年度をめどに20階程度のビルを建て、大半を企業に貸し出す方向とみられる。岩崎芳史社長は中国新聞の取材に「年内に(建て替え)計画を決定したい。オフィス主体にしていきたい」と明かした。

 さらに、JR西日本はエキキタの広島支社を20年に移転し跡地を開発する計画。不動産業界には、高層のオフィスビルに生まれ変わるとの見方が広がる。

 駅前でオフィスビルが増える背景には、中区の中心街で空きが減ったことがある。CBREによると、中心街の空室率は2%台後半の低水準が続く。八丁堀の16階建て「スタートラム広島」は昨年末の完成と同時にほぼ満室となった。

 建物の老朽化と、深刻な人手不足も一因だ。企業側には郊外の古いビルから都心の新築に移り、働き手を集めたい思いがある。中区幟町で14階建てビルを建設中の三菱地所の服部謙一中四国支店長は「注目度は高い。良い形で19年秋の完成を迎えられそう」と根強い需要を見通す。

 多くの都市では江戸期の城下町を起源にオフィス街が栄えた。ただ日本郵政不動産の岩崎社長は「全国のオフィス需要は新幹線の駅周辺に移っている」と強調する。JR名古屋駅前がその象徴という。

 ▽全体の活性化に

 広島でオフィスの「駅前シフト」は進むのか―。ある不動産業者は「駅前に新しいビルが増えれば、一時的に中心街の空室率は上がる」とみる。

 中心街が駅前にテナントを奪われ苦戦するようになれば、建て替えの機運が高まる可能性がある。紙屋町・八丁堀地区は国の都市再生緊急整備地域の指定を受ける見通し。建物を高層にできる規制の緩和や税制優遇は追い風となる。

 駅前と中心街が競い合いながら魅力を高め、エリア外の企業を引き寄せられれば、地域にとっては理想的な筋書きとなる。三菱地所の服部支店長は「駅前という新しい選択肢は街全体の活性化に欠かせない」と前向きに受け止める。(川上裕)

 【記者の目】ビジネス創出 「夢の器」期待

 「建てるだけでは成功しない」。広島駅前と紙屋町・八丁堀地区の関係者に共通する声だ。テナントの奪い合いに陥れば、賃料の競争で疲弊しかねない。今後のオフィスビルには異業種の連携や新事業の創出を促すような「夢の器」になってほしい。そのためには人が集い、学べるソフト面の充実も重要だろう。


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  • 広島駅北口で建設中の高層ビル。テナントとして20〜30社が入る見込みだ

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