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天守閣「木造復元を」 広島城有識者会議、市に最終意見(2021年3月3日掲載)

2021/3/3 10:40
広島市の有識者会議が木造復元を求める意見をまとめた広島城天守閣

広島市の有識者会議が木造復元を求める意見をまとめた広島城天守閣

 広島城(広島市中区)の在り方を考える有識者会議は2日、耐震対策として天守閣を木造で復元するよう求める最終意見をまとめ、市に報告した。かつての姿を復元できる資料が残っており、歴史的な価値を高められると判断したという。併せて課題として、財源確保や復元に向けた市民の機運の高まりを挙げた。市は意見を踏まえて、できるだけ早期に具体的な方針を示す。

 最終意見は、耐震補強と木造復元のそれぞれのメリットを比べるなどした過去3回の会合で、木造復元を推す意見が大多数だったと指摘。実現に向け、文化庁と協議しながら調査検討するよう市に提案している。課題として、建物を支える石垣の調査や復元の財源確保、公費負担に向けた市民の機運醸成を挙げた。

 木造復元するまでの天守閣の耐震改修は、二重投資になるため不要とした。日本を代表する城郭としての発信力を高めるため、天守閣脇にあった二つの小天守の復元についても、方向性を示すよう求めた。

 市役所での会合には城郭史や文化関連の専門家たち9人が出席し、最終意見案を全会一致で承認した。座長を務めた三浦正幸広島大名誉教授(城郭史)は会合後、「正確に再現できるため価値が高い。市民や県民に丁寧に説明しながら再建してほしい」と望んだ。

 現在の天守閣は1945年の米軍による原爆で倒壊し、58年に鉄筋コンクリート5階建てで復元された。倒壊前の1590年代に建った天守閣は1931年に国宝へ指定され、旧陸軍の測量図が残っている。(新山創)

 ▽財源や機運醸成に課題 座長「世界から寄付」案も

 広島市の有識者会議が2日、木造による復元を求める最終意見をまとめた広島城天守閣。市は実現するための費用を85億8千万円と見込んでいる。最大でも9億8100万円とみている耐震補修と比べた巨額の事業費の確保と、公費負担に向けた市民の機運醸成―。会議が最終意見で指摘し、市も認識を共有する二つの課題を解決できるか。今後、市が方針を決める上での焦点となる。

 「機運を高めないと、高額を投じることに理解が得られない」「市民の了解が大切」。この日の会合では全ての委員が木造復元に賛成する一方、環境整備の重要性を説く声も相次いだ。委員の一人は「天守閣に関心の薄い市民も多い。情報提供を活発にするべきだ」と訴えた。

 最終意見には、財源確保の具体的なスキームは盛り込まれなかった。三浦正幸座長は会合後、財源の確保について「広島の知名度を生かして世界から寄付を集め、足らずを税金で補完したい」とのアイデアを披露したが、寄付額をどこまで伸ばせるかは未知数だ。

 市は新サッカースタジアム建設やJR広島駅南口広場の再整備などの大型事業を進めており、財政面に余裕があるとは言い難い。天守閣は国史跡で、現状変更には文化庁の許可も要る。市文化振興課は「木造復元する場合、乗り越えるハードルは高い」と説明する。

 市民団体「広島城天守閣の木造復元を実現する会」の大橋啓一会長(74)=南区=は、この日の会合を傍聴した。「原爆で倒壊した天守閣を忠実に再建すれば復興の象徴となる。観光面の恩恵もあり、長期的な視点から投資するべきだ」と訴えた。(新山創)


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