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【詳報・克行被告第55回公判】検察側論告<1>選挙情勢は厳しいものと予想された

2021/5/1 2:26

 論告要旨

公職選挙法違反 被告人

河井克行

第1 序論

本件各公訴事実は、当公判廷において取調べ済みの関係各証拠により、その証明はいずれも十分である。

これに対し、被告人は、本件各公訴事実のうち、公訴事実第1については、河井案里(以下「案里」という。)とは共謀していないなどと主張し、公訴事実第2については、おおむね争わない旨述べつつも、(1)自己が令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)における案里の選挙運動を総括主宰した者であるかは裁判所の判断に委ねたい、(2)渡辺典子(以下「渡辺」という。)への現金供与の趣旨は本件選挙における案里への投票及び投票の取りまとめなどの選挙運動の報酬ではなかった、(3)沖井純(以下「沖井」という。)及び亀井静香・元金融担当相の元公設秘書の男性への供与金額は公訴事実の金額ではない、(4)A及びBに対しては現金を供与しておらず、A及びBにそれぞれが支援する番号1及び番号2への供与現金を預けたまでである、(5)元事務長男性ら選挙事務所のスタッフ5名への金員供与の趣旨は案里への投票及び投票の取りまとめなどの選挙運動の報酬ではなかった、(6)県議会議員、市議会議員、町議会議員及び首長ら並びに被告人の後援会として政治団体の届出がなされていた河井克行後援会「三矢会」連合会(以下「三矢会」という)メンバーらへの現金供与の趣旨については、案里への投票及び投票の取りまとめなどの選挙運動の報酬の趣旨は副次的なものであり、自己の政治基盤の維持強化等が主たる趣旨であったなどと主張してこれらの点について事実関係を争い、弁護人もこれに沿う主張をしている。

そこで、以下では、被告人が事実関係を争う点についても、本件各公訴事実のとおりの事実が認められることなどについて詳述する。

第2 本件選挙における案里の立候補及び当選状況等、選挙情勢等並びに当選に向けた活動状況等について

1 本件選挙における案里の立候補及び当選状況等について

案里は、平成31年3月13日、自由民主党(以下「自民党」という。)から、本件選挙の広島県選挙区での公認決定を受け、同月20日、本件選挙への出馬を表明し、同月27日には、案里を代表者とする自由民主党広島県参議院選挙区第七支部(以下「第七支部」という。)が設立され、同年4月22日には、広島市中区中町に本件選挙のための事務所(以下「選挙事務所」という。)が設置された。

本件選挙は、令和元年7月4日に公示され、同選挙区では、定数2名のところに、案里、同じく自民党の公認候補で現職の溝手議員ほか5名が立候補し、同月21日の投開票の結果、案里は当選し、溝手議員は落選した。

2 本件選挙における案里の選挙情勢等について

自民党本部は、かねてから、参議院議員通常選挙広島県選挙区において、自民党広島県支部連合会(以下「広島県連」という。)の推薦する候補者1名を公認候補として擁立していた。

自民党本部は、平成30年7月頃、本件選挙の同選挙区において、広島県連の推薦を受けて、溝手議員を公認候補としたが、その後、同選挙区における2人目の公認候補を擁立することとし、広島県連の反対を押し切る形で、平成31年3月13日、案里を同選挙区の公認候補として擁立した。

広島県連は、自民党本部の方針に反発し、同月中旬から下旬頃、溝手議員のみを支援する方針を決定して、案里の支援は行わないこととし、例えば、案里側から、候補者の支持拡大につなげるための各種団体名簿の提供を求められても、この提供を拒否した。

このため、被告人及び案里は、広島県連からの人的支援や組織票の振分けを期待できなくなり、独自に選挙事務所のスタッフの確保を行ったり各種団体の推薦を得るための活動を行ったりするなど、広島県連の支援なしに本件選挙に向けた活動を行わなければならなくなった。

また、衆議院議員である被告人の選挙区は、広島県第三選挙区であって、その対象行政区域は、広島市安佐北区、同市安佐南区、安芸高田市、山県郡安芸太田町及び同郡北広島町であり、案里の広島県議会議員時代の選挙区は、広島市安佐南区であったのに対し、本件選挙の選挙区は、被告人及び案里の地盤地域外を広範囲に含む広島県全域に及んだ。

これらの事情から、本件選挙における案里の選挙情勢は厳しいものと予想された。

3 本件選挙における案里の当選に向けた活動状況等について

(1) 三矢会の集会の状況等
(ここまで 1812文字/記事全文 7142文字)

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