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【詳報・克行被告第55回公判】検察側論告<6>現金供与の趣旨、不合理な主張

2021/5/1 2:27

(3)渡辺への供与金額

 渡辺は、被告人から供与された現金の金額は10万円であった旨証言するものの、前記第4・2のとおり現金供与の実績を正確に記載したものと認められるリストには渡辺について「30+20」と記載されていること、被告人から現金を供与された他の広島県議会議員はいずれも少なくとも20万円の現金供与を受けたことが認められ、渡辺への供与金額のみを10万円とする特段の合理的理由も見当たらないこと、渡辺は、被告人から供与された現金の趣旨が例年の交付金である旨の虚偽の証言をしているところ、その証言に沿うように供与金額が例年の交付金と同額の10万円である旨の虚偽の証言を行っていると推認できることからすれば、被告人から渡辺への供与金額は、20万円であると認められる。

 なお、被告人は、渡辺への供与金額について、「10万円か20万円かはっきりしない」旨述べて、供与金額が20万円であることを積極的には争っていない。

(4)渡辺への現金供与の趣旨

 渡辺への現金供与の趣旨は

ア 供与当時、既に案里が自民党から公認決定されて本件選挙への出馬を表明し、被告人及び案里が本件選挙における案里の当選に向けた活動を開始しており、本件選挙の公示日間近の時期であったこと

イ 案里は、本件選挙において広島県連の支援を受けられず、本件選挙での選挙区が被告人及び案里の地盤地域外を広範囲に含む広島県全域に及ぶため、厳しい選挙情勢になると予想されていたこと

ウ 渡辺は、同地盤地域内の選挙区選出の県議会議員であり、被告人は、同地盤地域内での票の獲得を堅固なものとするために渡辺にその支援者等の投票取りまとめなどの選挙運動を行ってもらうことを期待していたと推認されること

エ 供与当日、被告人は、渡辺の取り計らいによって、本件選挙に向けて、地元企業の会長と面会し、案里の後援会入会申込書の記入依頼やポスターの掲示依頼をしていたこと

オ 供与直前、被告人は、渡辺に対し、本件選挙に関して渡辺の地元での案里への支援が不足している旨指摘していたこと

カ 渡辺の弁解をもってしても、渡辺は、一旦は被告人から供与された現金の趣旨が本件選挙における投票及び選挙運動の報酬の趣旨であると認識して受領を断ったこと

キ 同時期に行われた被告人による現金供与は、本件選挙における投票及び選挙運動の報酬の趣旨であったと認められることからすれば、本件選挙における投票及び選挙運動の報酬の趣旨であったと認められる。

 なお、被告人は、選挙情勢について、「厳しい選挙情勢だとは認識していなかった。」旨主張するが、選挙区が広島県全域に及ぶ本件選挙において案里は広島県連の支援を受けられなかったこと(なお、被告人も、選挙区が広島県全域に及ぶ参議院選挙においては通常広島県連が主導的役割を果たして広島県内の地方議会議員等が活動の中心となって選挙運動等を展開するものであることは認めている。)、現職の参議院議員2名が立候補予定であるところに案里が立候補を表明したこと、案里の公認決定は本件選挙の公示日の約4か月弱前という公示日に間近い時期であったことなどからすれば、被告人の主張が虚偽であることは明らかである。

 また、被告人は、渡辺への現金供与の趣旨について、「例年の交付金の趣旨で渡した。本件選挙における投票及び選挙運動の報酬の趣旨は一切なかった。」旨主張するが、前記認定からすれば、被告人の主張が虚偽であることは明らかである。

被告人は、自己及び案里と極めて親しい関係にあった渡辺が現金供与の趣旨を否認する虚偽証言を行ったことから、渡辺をかばうために、渡辺への現金供与の趣旨について不合理な主張を行っているものと認められる。

2 沖井への供与金額
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