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歴史伝承「天空公園」に 旧宇都井駅(島根県邑南町)【いわみがたり 鉄道編<1>】

2021/5/1 14:49
旧宇都井駅の前で思い出を語る三上さん

旧宇都井駅の前で思い出を語る三上さん

 ホームに上がる116段もの階段。エレベーターはなく、地上20メートルにある珍しい構造から「天空の駅」と呼ばれた。旧JR三江線の宇都井駅は、2018年4月の廃止から3年たった今も訪れる人が絶えない。

 1975年8月、三江線の全線開通に合わせて開設された。戦争やダム計画で工事が中断した同線。「ようやくつながったという思い」。旧羽須美村の収入役を務めた三上茂さん(84)=島根県邑南町下口羽=は振り返る。ホームに着くまで一苦労だが、「地元にとって悲願の駅だったからか、苦情は聞かなかった」と話す。

 駅が完成した頃、すでに車社会が到来し、利用は低迷した。それでも「人が住む限りは鉄道を残してほしかった。農村が見捨てられたよう」と寂しがる。

 駅は、旧口羽駅(邑南町)とともに町がJR西日本から無償譲渡を受け、今年4月に三江線鉄道公園として開園した。階段と上り切った待合室は自由に出入りできるようになった。

 50年以上沿線で撮影してきた三上さんの写真は、公園の案内板にも使われた。開業に向けた工事や最終運行日にライトアップされた駅の様子を捉えた。「三江線を知らない世代に地域の歴史を伝える場になれば」と願う。(鈴木大介)

    ◇

 石見地域は全国の鉄道ファンから注目されるエリアでもある。CMが撮影された列車の撮影スポットや、文豪が傷心旅行で訪れた駅、着工しながらも中断したため使われなかった橋脚―。現役の鉄路だけでなく、廃線や未成線を含めた石見の鉄道の魅力を語る。

 <メモ>駅近くにカフェ兼宿泊施設「うづい通信部」がある。5月にホームを開放するのは、旧口羽駅でのトロッコ車両の運行日で、1〜5日と15、16日。午前11時〜午後5時。ホームへの入場料は、小学生以上200円。江の川鉄道Tel090(3221)5040。

【いわみがたり 鉄道編】
<2>「撮り鉄でここを知らない人いない」道の駅ゆうひパーク三隅(浜田市三隅町)


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