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【コロナと闘う 医療最前線】「家に帰れない。家族にうつすのが怖い」コロナ感染リスク隣り合わせの医療者ら苦悩(2020年5月13日掲載)

2020/5/13 21:27
ブルーシートで空間を仕切った自宅の納屋を「隔離部屋」とし、感染に備える竹下さん=広島県北広島町(撮影・大川万優)

ブルーシートで空間を仕切った自宅の納屋を「隔離部屋」とし、感染に備える竹下さん=広島県北広島町(撮影・大川万優)

 「家族にうつすのが怖くて家に帰れない」。広島市の救急病院に勤める男性医師は4月、職場の近くに1Kの短期賃貸マンションを借りた。発熱や肺炎の疑いがある外来患者を診ることが増え、新型コロナウイルスに自身も感染するリスクがあるからだ。

 自宅には妻と子ども3人。末っ子はぜんそくの治療中だ。3月下旬から家族と食事の時間をずらし、寝室を別にした。4月に入り、フリーアナウンサー赤江珠緒さんが夫婦で感染して育児に困ったという報道に触れ、しばらく帰らない方がいいと決心した。

 糖尿病の70代の母親のことも頭に浮かんだ。よく家に来て孫の世話をしてくれる。「持病がある高齢者は重症化しやすい。もしものことがあったら取り返しがつかない」と心配する。

 知り合いの医師は、感染者が入院する広島県内の病院に勤めており、自費でホテルに宿泊している。「みんな金銭的な負担があり、子どもにも会えませんが、家族を守るためです」とため息をつく。

 感染リスクと隣り合わせの医療者たちは、不安やストレスを抱えながら、未知のウイルスと闘っている。感染者を受け入れる広島県内の病院に勤める40代女性看護師もその1人だ。最近は一番くつろげるはずの自宅でも、気持ちが落ち込んでしまう。夫と子ども、義理の母との4人暮らし。「家族も感染を恐れていますが、私にもフォローできるほどの心の余裕がない。時々、けんかの一歩手前になる」と打ち明ける。

 そんなスタッフたちが少しでも働きやすいようにと、広島市内の救急病院は近くの宿泊施設を借り上げた。家に幼い子どもがいる看護師ら約10人が利用しているという。

 広島県医師会は県への緊急要望書で、コロナに対応する医療者向けの「ホテルの確保」を求めている。ただ財政難にあえぐ病院が多く、経費でホテルを確保できたのはごく一部だ。県内の病院の労働組合には車中泊をしている医療者がいるとの報告も上がる。担当者は「心身への負担が心配。いったん感染者が減っても『第2波』の恐れがある。現場が安心して働ける態勢を早急に整えてほしい」と訴える。

 「それまで待てない」と、自宅に「隔離部屋」を作った人もいる。北広島町の竹下雅彦さん(45)は夫婦とも看護師。妻が働く病院には発熱外来もある。緊急事態宣言が全国に広がった直後に納屋を整理し、ブルーシートで空間を仕切ってベッドを運び入れた。

 母親(72)と中学1年の娘の4人暮らし。「水道もトイレも別にするのが大切。ここなら2週間は暮らせる。自己防衛が大切です」
(ラン暁雨、田中美千子)

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