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広島県大規模PCR、専門家は評価と懸念で二分「時宜得た」「効果疑問」

2021/5/6 23:05

 新型コロナウイルス感染の「第4波」が押し寄せる中、広島県の湯崎英彦知事が6日、新たなカードとして打ち出した事業者向けの大規模PCR検査。対象者56万人と、国内ではかつてない規模の検査を医療者や感染症の専門家はどうみるのか。「時宜を得た対策」と評価する声がある一方で、費用対効果や現場の負担増への懸念も上がった。

【グラフ】広島県の新型コロナウイルス感染者数と医療提供状況

 「積極的な検査と感染者の隔離は、感染対策の原則だ」。広島県医師会の松村誠会長は、県の方針に賛同する。「ワクチン接種が行き渡るまでの策としても有用」と指摘。感染力が強い変異株が広まる中、移動の機会が多く、感染リスクが高い現役世代が対象になる点も評価できるという。

 政府の感染症対策分科会のメンバーで、慶応大経済学部の小林慶一郎教授も「クラスターを早期に見つけられたら感染者も重症者も増加を抑えられ、医療への負荷を減らせる」と受け止める。県が13億円と見込む経費についても「積極的な検査で感染拡大を抑える方が、結果的に経済的なコストが安くなる」とみる。

 一方で、効果を疑問視する意見もある。名古屋市立大の鈴木貞夫教授(公衆衛生学)は「実効性があるという勝算なしに行うべきではない。議論を尽くしたのか」と投げ掛ける。

 大規模PCRが議論になるのは初めてではない。湯崎知事は今年1月、住民80万人を対象とした検査を構想。専門家には、県境を越えた人の移動がある中では検査の効果は限定的とみる声も強かった。感染者の減少も重なり、結果的に2月、8千人規模での試行に切り替えた経緯がある。

 大規模検査の実施には医療者や技師などのマンパワー、感染者を受け入れる病院やホテルも必要となる。鈴木教授は「貴重な人員を割く余裕があるのか、膨大な税金を投入してやる意義があるのか、広く現場や識者の意見を聞くべきだ。実施するなら、事後評価をしっかりする必要がある」と提言する。

 広島大大学院の坂口剛正(たけまさ)教授(ウイルス学)は、事業所を対象にする手法について「対策を徹底している事業所が多く、現時点では陽性率が低いのではないか。感染拡大防止の効果が限定的になる可能性がある」と話した。(田中美千子、衣川圭) 

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