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協力金対象外「なぜ」 広島県の民泊やゲストハウス(2020年5月24日掲載)

2020/5/24 23:07
経営する民泊が入るマンションの前で支援を訴える三井さん

経営する民泊が入るマンションの前で支援を訴える三井さん

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休業した店などに支給される広島県の協力金は、民泊やゲストハウスなどの小規模宿泊事業者が支援の網から漏れている。観光業の回復が見通せない中、支援の拡充を求める声が上がっている。

 「なぜ何の支援も受けられないの」。廿日市市地御前で民泊施設を営む、三井英子さん(43)は嘆く。感染拡大の影響で2月からキャンセルが続出。外出自粛ムードが高まった4、5月の予約はゼロになった。家賃や光熱費など月20万円以上の固定費が重くのしかかる。「中小事業者にとって協力金は頼みの綱なのに」とうなだれる。

 同市の寺沢雅治さん(68)が経営する宮島のゲストハウスでも4、5月の予約はゼロになった。ローン支払いなどの費用を捻出するため、新たな融資を受けた。「観光客がいつ戻るのか見通せない。県は観光立県をうたうのに、支援がないのはおかしい」と訴える。

 どうして県は宿泊事業者たちを協力金の支給対象としていないのか―。

 県商工労働総務課の今井洋課長は「やむを得ない事情で県を訪れた人が泊まる場所を確保するため、宿泊施設に休業要請はできず協力金の対象にならなかった」と説明。「他に対象外の業種も多く、全てをカバーするのは難しい。収束後の観光促進策を打つ」と述べる。今後、クラウドファンディング(CF)で支援を募る宿泊施設などに手数料などを補助する方針だ。

 一方、他県では独自の支援策を講じる動きがある。

 宮城、山形、愛知県などは、4月下旬から5月6日まで休業した宿泊施設を特例として協力金の給付対象に加え、最大20万〜50万円を支給している。長野県は4月下旬から5月6日まで休業した宿泊施設に支援金30万円を支給している。

 観光業を下支えする目的で休業の有無にかかわらず支援する県もある。佐賀県は旅館組合などに加盟する施設に支援金50万円を出し、鳥取や福岡県は施設を消毒する衛生対策費などを助成している。

 「観光に力を入れてきた県として、政策の一貫性を守るべきではないか」。広島大大学院先進理工系科学研究科の張峻屹(しゅんきつ)教授(観光政策)は公的支援の拡充を訴える。「中小事業者は体力がない。将来の観光客の受け入れ環境を保つためにも必要」と指摘する。(木下順平)

 <クリック>広島県の協力金 正式名称は「県感染拡大防止協力支援金」。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業要請に応じた中小企業や個人事業主へ支払う。4月22日〜5月6日、休業や営業時間を短縮したカラオケ店や映画館などを対象に、10万〜50万円を支給する。飲食店は休業要請の対象外だが、自主的に休業などをすれば支給する。

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