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生理用品、無償配布は3市 中国地方の全54市調査、山口・島根県内は予定なし

2021/5/16 23:01
山口市の会場で生理用品が入った袋を手渡すドットスタイルのスタッフたち(2日)

山口市の会場で生理用品が入った袋を手渡すドットスタイルのスタッフたち(2日)

 お金がなく生理用品を買えない「生理の貧困」の問題が注目される中、中国地方の全54市のうち、無償配布しているのは倉敷、鳥取、米子の3市にとどまることが16日、中国新聞の調査で分かった。94・4%の51市が未実施で、山口県と島根県は全市で予定さえない。独自に配布する市民団体もあるが、困っていることを自分から言い出しにくい面もあり、行政の積極的な支援が欠かせない。

 調査は10〜13日に電話で聞き取った。既に配布している3市はいずれも防災備蓄品を活用した。最も早く始めた米子市は4月1日に市役所などで20〜30枚入りを100袋用意し、配っている。市は「予算を付けると時間がかかる。いち早く取り組むため備蓄品を充てた」とする。

 岡山市と境港市は配布の予定がある。岡山市は市議の申し入れを機に8万枚を用意し、時期や配布方法を詰めている。境港市は今月末から1300枚を配る予定で「市民の直接の要望はないが、言いづらい問題なので他の自治体に遅れないよう進めたい」とする。

 広島、三次など5市は検討中。広島市は「全国的な問題のため市として必要か検討している」と答えた。

 ただ、81・5%に当たる44市は予定もない。広島県12市、山口県全13市、岡山県11市、島根県全8市で、多くが「市民から要望の声がないため」と説明した。

 ▽民間では支援の輪広がる

 行政の腰が重い一方、民間には支援が広がりつつある。ひとり親家庭を支援する市民団体ドットスタイル(山口市)は5月上旬、山口、防府市で配布を始めた。費用は寄付金を充てた。県内初の取り組みとみられ、2日間で54人にそれぞれ20〜30枚入りのナプキン2袋を配った。

 配布会を訪れた女性(41)は6歳の長女と2人暮らし。昨春、新型コロナウイルスの影響で旅館関連のパートの仕事をなくし、困窮した。自宅の電気や水道は止まり、長女の食事を優先すると生理用品を買えなかった。古い子ども服を切り、ラップを重ねてナプキンを自作した。服が足りない時はラップに新聞紙などを重ねた。衛生面が気になったが他に方法は浮かばない。自治体の支援がないことに女性は肩を落とす。「生理用品がないとは言いにくい。私のように必要とする人はいる」と訴える。

 家計の問題だけではない。父子家庭で育った山口県内の女性(44)は報道を通し、かつて自らが「生理の貧困」に陥っていたと気付いた。小学5年の時、両親が離婚し父、妹と暮らし始めた。生理でナプキンがどれほど要るか知らない父は十分な量を買わなかった。男性の父には伝えづらく、小遣いもなかった。交換の回数を抑え、妹は制服から経血が漏れたこともあった。「母がいたら相談できたかも。女性であることが嫌だった」と振り返る。

 ドットスタイルは県内各地で配布会を続ける予定だ。ナプキンを寄贈したスーパー、丸久(防府市)の田中康男社長は「行政を含め支援の輪が広がってほしい」と願う。同団体の小西凡子(みなこ)代表(49)は「自治体によってばらつきがある現状を変えたい。学校に生理用品を常備するなど生理に困らない社会にしていかないといけない」と力を込めた。(山下美波) 


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