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寄付金集め負担、地域の祭り苦境 コロナ禍と役員高齢化、存続不安視も

2021/5/21 21:27
高松山の前で、祭りの寄付金集めの苦労を話す山本会長(右)と土井会長

高松山の前で、祭りの寄付金集めの苦労を話す山本会長(右)と土井会長

 資金を事業所や住民から募る地域の祭りが、苦境に立たされている。運営する自治会などの役員たちが高齢化して資金集めが負担になっていることに加え、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた企業や住民に資金拠出の余裕がなくなっている。広島市北部の安佐北区などでは祭りの存続を不安視する声も出ている。

 可部地区の高松山で5月にある「大文字まつり」。主催する住民団体「高松神社大文字保存会」は、昨年に続き中止を決めた。

 電気代など運営資金を寄付金に頼る同まつりは例年、保存会のメンバーが各戸を回って1口千〜1万円を集める。ただ、メンバー12人の年齢はいずれも70歳前後で体力が落ちた人もおり、苦労するようになっていた。今回の中止は新型コロナ禍の影響が大きいが、山本一雄会長(74)は「お金を出し渋る人にお願いするのは精神的にもしんどい。寄付に頼る祭りは限界にきている」とうつむく。

 東広島市安芸津町で地域イベントの世話役を務める70代男性も「地域の人口が減り、祭りの財源となる寄付金を集める作業は年々しんどくなっている。祭りをやめると楽になるが、それでいいのか」と明かす。

 安佐北区などでは町内会有志が地域の祭りを運営するケースが多いが、「若い人を中心に町内会へ入らない世帯が増えた」との声も漏れる。同区の町内会加入率は近年減少傾向が続いており、2020年7月時点の加入率は66・7%。祭りも、支え手の代替わりが進んでいない地域がある。

 こうした現状に新型コロナが追い打ちをかける。毎年7月にJR可部駅前の明神社である伝統の「夏の大祭」。実行委員会の可部駅前町内会は、2年連続の中止を決めた。「会社経営や生活も苦しく、地域として寄付金を出そうという余裕がなくなってきている」と土井和正会長(75)は悩む。

 来年以降も開催する場合は、神楽舞台の設営や警備員の配置に使う寄付金を約400軒回って集める必要がある。土井会長は「お金のかからない祭りの運営方法が必要。行政の知恵も借りたい」と話している。(重田広志) 

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