トピックス

宮島の門前町、重伝建へ 文化審答申、鳥取県若桜地区も

2021/5/21 23:07

 文化審議会(佐藤信会長)は21日、廿日市市宮島町の厳島神社の周辺に栄える門前町約16・8ヘクタールを、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定するよう、萩生田光一・文部科学相に答申した。本年度中にも答申通り告示される見通し。中国地方では、江戸時代に宿場町として栄え、明治前期の大火から復興した若桜(わかさ)伝統的建造物群保存地区(鳥取県若桜町)も選ばれた。

 宮島の対象地区は、厳島神社周辺の、海岸と弥山(みせん)原始林に挟まれた一帯。江戸時代から昭和20年代までの伝統的な町家や社家住宅が立ち並ぶほか、街路で区切られた町割りは戦国時代に由来し、江戸時代後期までに整えられた敷地区画の地割(ちわり)が残っている。観光客がそぞろ歩く宮島表参道商店街は対象地区に入っていない。

 宮島は1952年、文化財保護法に基づく国の特別名勝・特別史跡に指定。96年には厳島神社が世界遺産に登録された。市は2019年に今回の重伝建地区の同じ範囲を市伝統的建造物群保存地区に指定し、町並み保存に力を入れていた。広島県内の重伝建は4地区目。

 文化審は答申で、平清盛や戦国時代の毛利氏の庇護(ひご)を受けて発展した厳島神社の周辺に栄えた門前町の歴史的風致をよく伝えている、と評価した。

 若桜地区の対象は約9・5ヘクタールで、同県の重伝建は3地区目。16世紀末〜17世紀初頭に整備された若桜鬼ケ城の城下町を起源に、山間部の交通の要所として発展した。1885(明治18)年の大火で町の大部分が焼失したが、住民組織による復興計画に基づき拡幅、直線化した旧街道沿いに、屋根を不燃化した町家が並んでいる。

 文化審は今回、福井県南越前町の今庄宿地区を合わせた3地区を選定するよう答申した。選定されれば全国の重伝建は126となる。また、文化審は1964年の東京五輪を象徴する建造物の一つで、丹下健三氏の名建築として知られる代々木競技場(東京都渋谷区)や、世界的建築家ル・コルビュジエに師事した前川国男氏設計の木村産業研究所(青森県弘前市)など7件を重要文化財に指定するよう答申した。指定されれば建造物の重要文化財は2530件(うち国宝228件)となる。代々木競技場は64年完成で、最も築年数の浅い建造物の重要文化財となる。(永井友浩、小畑浩)

 <クリック>重要伝統的建造物群保存地区(重伝建) 文化財保護法に基づき、歴史的な町並みを保存する制度。市町村の申請に基づいて国が選定する。対象の建物の現状を維持しながら復元的に改修する場合、国の補助や税制優遇を受けられる。選定されれば、中国地方の重伝建は、福山市鞆町や竹原市竹原地区、柳井市古市金屋など計20地区となる。


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

トピックスの最新記事
一覧