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避難所の感染、どう予防 中国地方で模索続く(2020年5月24日掲載)

2020/5/24 23:07
西日本豪雨時、避難者で混み合う避難所。今後は感染防止対策が課題となる(2018年7月6日夜、広島市南区)

西日本豪雨時、避難者で混み合う避難所。今後は感染防止対策が課題となる(2018年7月6日夜、広島市南区)

 新型コロナウイルス感染症が拡大してから初めて、梅雨や台風などにより水害が起きやすい出水期を迎える。各自治体は、住民の避難所での感染防止対策を迫られる。国はできるだけ多くの避難所の開設や十分なスペースの確保を求めるが、用意できる施設の数に限界はある。中国地方でも、避難と感染予防の両立へ模索が続く。

 内閣府は4月、避難所での感染防止対策を促す通知を全国の自治体に出した。避難者の十分なスペースの確保をはじめ、発熱やせきの症状がある人のために個室やトイレを用意し、動線も分けるよう求めた。ホテルを活用したり、知人方などに逃げたりする「分散避難」も勧めた。

 「町内にホテルはない。避難所の数も限られている」。広島県坂町環境防災課の窪野稔課長は不安を口にする。2018年7月の西日本豪雨で災害関連死を含め19人が亡くなった同町。災害直後、避難所になった体育館で、住民は間仕切りのない中で雑魚寝した。

 西日本豪雨時、広島県内では一時、700カ所以上の避難所に約1万7400人以上が身を寄せた。大規模災害では避難所の密集は避けられない。東日本大震災、熊本地震の避難所ではノロウイルス(小型球形ウイルス)やインフルエンザの集団感染が発生した。

 各自治体は、避難時の感染防止策を急ピッチで検討している。山口市は、避難所での1人当たりのスペースを現行の2・4倍の約4平方メートルに広げる予定。収容人数は減るが、被害の少ない地域で避難者を受け入れることを視野に入れる。三次市は自主防災組織に協力してもらい、補助的な避難所を早期に設ける方向で調整する。いずれも避難者を分散させる狙いだ。

 避難所で感染疑いのある人が出た場合への対応に、各自治体とも不安を抱える。構造的に個室を十分に確保できない避難所は多い。広島市は新たにテント約850張りを避難所に配備し、感染が疑われる人の専用スペースとして代用することを決めた。ただ、「スペースを分けることが誹謗(ひぼう)中傷につながらないか心配」(鳥取市)との声も上がる。

 避難者の中に発熱などの症状が出た際の避難所のゾーン分けを検討している福山市福祉総務課の小林大二・地域福祉担当課長は「経験のない事態。不安はあるが、できることをやるしかない」と語る。(藤田龍治)

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