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広島も「バターがない」 家庭用、巣ごもり消費で需要急増(2020年5月31日掲載)

2020/5/31 21:08
多くの家庭用バターが売り切れたスーパーの商品棚=5月28日、広島市中区(撮影・山崎亮)

多くの家庭用バターが売り切れたスーパーの商品棚=5月28日、広島市中区(撮影・山崎亮)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、広島県内で家庭用バターの品薄が続いている。家庭で長時間を過ごす「巣ごもり消費」を背景に全国的に不足しているという。乳業メーカーは、学校の一斉休校による給食向け牛乳などの需要減を受けてバターを増産しているが、供給が追い付いていない。各地で外出自粛の緩和が進むものの、品薄の解消にはまだ時間がかかりそうだ。

 「どこの店に行っても欲しいバターがない」。5月28日、広島市中区のスーパー「スパーク堺町店」で同区の主婦坂本成美さん(57)はこぼした。「1家族1個限り」と表示されたバターの陳列棚は、ほとんど空っぽだった。

 同店では5月上旬から品薄になり、在庫を確認する客の問い合わせも増えたという。梶山雅文店長(59)は「こんな状況が続くのは初めて」と困惑する。県内ではイズミ(東区)、万惣(佐伯区)などの多くの店舗でも品薄となっている。

 背景には新型コロナによる外出自粛がある。全国の乳業団体などでつくるJミルク(東京)によると、自宅でパンや菓子作りをする人が増え、家庭用バターの需要も急増した。5月の消費量は約2200トンとなる見込みで、例年(約1400トン)の約1・6倍。年間で最も消費量の多い12月(約2千トン)を上回る。

 農畜産業振興機構(東京)が関東と関西のスーパー計50店を対象に調査したところ、5月上旬は40%以上の店で家庭用バター(200グラム)が欠品していた。

 ただ、給食用や飲食店の牛乳の需要は大きく落ち込み、バターの原料となる生乳は十分にある。乳業メーカーも生乳の廃棄を避けようとバターを増産しているという。それなのに、なぜ品薄は解消されないのか。

 要因の一つは、家庭用バターの生産には包装などの工程があり、業務用に比べて手間がかかることだという。家庭用の需要が急増しても、大手メーカー以外では生産設備をすぐに家庭用にシフトしにくい。

 大山乳業農業協同組合(鳥取県琴浦町)営業課の永島正男課長(52)は「対応できる量に限りがある。加工品は牛乳に比べて利益率が低いことも、一気に増産しにくい要因ではないか」とみる。

 農林水産省牛乳乳製品課は「多くの乳業メーカーは家庭用バターの増産態勢を維持している。全国で緊急事態宣言が解除され、各地で学校も始まるため品薄は次第に改善する」としている。(藤田龍治) 

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