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元市職員44歳、老舗サイダー店を継ぐ 向島の後藤鉱泉所

2021/6/2 22:57
4代目の森本さん(左端)たちを見守る後藤さん夫妻

4代目の森本さん(左端)たちを見守る後藤さん夫妻

 尾道市向島町でサイダーなどを製造し、サイクリストたちにも人気の「後藤鉱泉所」を元竹原市職員の森本繁郎さん(44)が引き継ぐ。同市役所を今春退職し、後藤忠昭さん(79)と妻の勝子さん(79)から手ほどきを受けている。1930年創業の老舗の4代目になった森本さんは「伝統の飲み心地を守り、お客が楽しい思い出を残せる場に」と張り切る。

 ▽働き盛りのうちに…

 市職員時代は歴史的な建物の保存などに関わってきた。その中で地元の老舗が高齢化や後継者不足で廃業するのを目の当たりにしたが十分に手助けできず、もどかしさを感じた。また働き盛りのうちに別の仕事に挑戦したいという思いも抱えていたところ、事業譲渡を仲介するウェブサイトで後藤鉱泉所を見つけた。

 製造や販売の経験はなかったが「自ら働いて地元に愛されてきた店を守りたい。別の店にも後継者が現れるきっかけにもなれば」と決断した。神戸市で医療事務をしていた妹の藍さん(43)を誘うと、人工甘味料を使わない素朴な味や消費者に直接喜んでもらえる魅力が伝わり、共同で経営することになった。

 瓶入りのサイダーやミルクセーキなど6種の製造について、後藤さん夫妻が指導。並行して森本さんは尾道、福山、三原の約30カ所の得意先を回り、独り立ちに備えている。

 60年近く鉱泉所を支えてきた後藤さんは「商品をトラックに積んで回り、得意先を増やしてきた。作り方は何十年とやって体で覚えた」と振り返る。「寂しい気持ちもあるが、今はほっとしている。伝えられることは全て伝えたい」と見守る。森本さんは「常連客や観光客に喜んでもらえるよう精進したい」と誓う。(石下奈海)


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