トピックス

きれいになりすぎた瀬戸内海、栄養塩増に転換 改正法成立

2021/6/3 23:22

 改正瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)が3日、衆院本会議で可決、成立した。プランクトンの養分となる窒素やリンなどの栄養塩類の濃度を沿岸府県が海域の実情に応じて管理できる制度を設けた。排水基準を緩めて栄養塩類の量を増やすことで水産資源の回復を図り、地域による「里海」づくりを促す。

 同法は戦後の経済成長に伴って汚れた水質の改善を目的に、栄養塩類の排出を規制して海の富栄養化を抑え、赤潮対策などにつなげてきた。近年は水質改善が進んだ結果、栄養塩類が減り、養殖ノリの色落ちなどが各地で発生。気候変動による水温上昇や海洋プラスチックごみの問題とともに、瀬戸内海の異変にどう対応するかが課題となっている。

 改正法では湾や灘内の特定海域を対象に、沿岸府県が栄養塩類の管理計画を作成できるようにする。関係者の合意を得て、目標とする適切な供給量やその手法をまとめる。下水処理場や事業所排水の処理能力を調節するなどして排水中の濃度を上げ、水産資源の回復や環境の保全につなげる。

 自然海浜が対象の保全地区に、再生した藻場を加える。海草や海藻が二酸化炭素(CO2)を吸収する「ブルーカーボン」の促進を図る。海洋プラスチックごみを含む漂流ごみの除去や発生の抑制に向けた国と自治体の連携強化も規定した。

 同法の改正は2015年以来6年ぶり。1年以内に施行する。国は基本計画を見直し、広島、山口、岡山など関係13府県は個別の保全計画に反映させる。小泉進次郎環境相は「持続可能な瀬戸内海となるよう、われわれも地元と連携していく」と国が積極的に関わる姿勢を示している。(桑原正敏)

 <クリック>瀬戸内海環境保全特別措置法 議員立法の臨時措置法を政府が1978年に恒久法へ改正し、翌年施行。瀬戸内海の環境保全に関する基本理念を定め、水質汚濁の改善や富栄養化による被害の防止、自然海浜の保全などを目的とした。2015年施行の議員立法による改正では、基本理念に「豊かな海」を掲げ、美しい景観の形成や生物の多様性、生産性の確保を打ち出した。今回の改正案は政府が提出した。


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

トピックスの最新記事
一覧