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夫婦で醸す酒が全国金賞 大田の一宮酒造、互いの技生かす

2021/6/5 21:20
金賞を喜ぶ理可さん(右)と怜稀さん夫婦

金賞を喜ぶ理可さん(右)と怜稀さん夫婦

 大田市の一宮酒造による三瓶山麓の伏流水で仕込む清酒「石見銀山大吟醸」が、全国新酒鑑評会で金賞を受賞した。島根県内で珍しい女性の杜氏(とうじ)浅野理可さん(30)と、看護師から転身した副杜氏怜稀(さとき)さん(30)夫婦が手掛けた。互いの技を生かし合って華やかな香りを生み、「どちらが欠けても酒はできない。大事に造った」と喜ぶ。

 石見銀山大吟醸は県産のコメ「山田錦」を使い、飲みやすさを追求した。ワイングラスに注ぐと、香りがより引き立つという。酒類総合研究所(東広島市)などが開く同鑑評会で出品821点の中から金賞207点の一つに選ばれた。

 一宮酒造は1896年創業。理可さんは浅野浩司社長(58)の次女で、東京の大学で醸造を学んだ。怜稀さんは大学卒業後、看護師として県内の病院に勤めた。そんな2人はともに、日本酒好き。共通の友人を介した飲み会で知り合い、意気投合した。結婚を決めた後の2015年、「もともと物作りが好きだった」という怜稀さんが入社し、2人の酒造りが始まった。

 コメの出来や水に含まれる栄養分は年によって異なる。品質に徹底的にこだわる怜稀さんと、指先が器用でこうじ造りが得意な理可さんの互いの強みを生かした。ピーク時には一晩中ほとんど寝ずに温度を管理する日々が続くが、「経験が少ない分、丁寧な酒造りをする」(浩司社長)との姿勢を貫いた。子ども2人の面倒を見てくれる両親や近所の住民にも支えられた。

 酒造りは伝統的に男性社会で、女性杜氏は県内ではまだ珍しいという。理可さんは「ゆくゆくは『女性杜氏』ではなく酒の中身で取り上げてもらえるように」と意気込む。県内で最も若い杜氏の2人。「今年がたまたまだと思われないよう、高品質な酒を造り続けたい」と声をそろえる。(下高充生)

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