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告発職員を畳部屋に隔離か、山口県田布施町の税徴収ミス 今春新設、1人部署に異動(2020年6月9日掲載)

2021/6/10 1:00
職員が異動させられた1人だけの部屋。剝がした畳が置きっ放しになっている

職員が異動させられた1人だけの部屋。剝がした畳が置きっ放しになっている

 山口県田布施町が今春、固定資産税の徴収ミスを内部告発した職員を新たに設けた1人だけの部署に異動させたことが8日、分かった。これまでの業務とはまったくの畑違いでほかの職員と切り離された畳部屋。こうした措置について専門家は今月施行されたパワハラを防止する法律の指針が示す「隔離」に当たると批判している。(堀晋也)

 職員が配置されたのは町役場とは別施設の約40平方メートルの和室。それまでは町民にも貸し出す部屋などで使われており、畳の一部を剝がして机を置いた。文化的な調査や資料収集が仕事内容としているが、税務や外郭団体の財務に従事してきた職員は関わったことがない分野。部下や同僚はいない。剝がされた畳が置きっ放しの部屋で職員は「この2カ月間、仕事中に他の職員と会わない日も多い」と打ち明ける。

 職員は税務課に勤務していた2年前、相続時の手続きミスによる固定資産税の誤徴収を発見。上司に報告したが、対応しなかったため町議たちに告発した。その年度の業務評価は「成果なし」の0点。職員は「本来あるべき上司との面談もなかった」としている。その年の夏に別部署へ異動。さらに8カ月後に外部の一部事務組合に派遣された。この2年間で3回も異動させられている。

 今回の異動について、ある町職員は「この職員を1人にするためにつくった部署と思われても仕方がない。人事権の乱用ではないか」と疑問視する。

 国は1日、大企業にパワハラ防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法を施行。地方公務員にも適用され、指針にパワハラの例として「意に沿わない労働者に対して仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離」と記す。厚生労働省雇用機会均等課も田布施町の件を「法に抵触する可能性がある」と指摘する。

 大手精密機器メーカーのオリンパスで不正を内部通報した社員を巡る配置転換訴訟で無効判決を勝ち取った中村雅人弁護士は「まさにパワハラ。組織に都合の悪い職員へのいじめだ」と断言する。

 内部告発者たちでつくる「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」の串岡弘昭代表も「私とまったく同じ」と話す。自身もかつて運輸業界の闇カルテルを内部告発。報復人事で4畳半の部屋での1人勤務を強いられた。「隔離で精神的にも肉体的にも追い詰め、自ら辞めるよう仕向けているのでは」と憤る。

 東浩二町長は「パワハラとの認識はない。職員全体がうまく仕事ができるよう考えての配置。段階的に増員する予定もある」と話す。これに対し職員は「これまでのキャリアを生かすことができず、日々ほとんどやることがない」と話している。

<田布施町の固定資産税問題と内部告発職員の異動>

【2018年】
5月 職員が税金の徴収ミスを発見し上司に指摘するが、対応しないため、後に議員たちに内部告発▼8月 職員が税務課から別の部署へ異動▼12月 税金の徴収ミスをしていた可能性が議会などで問題化
【2019年】
2月 住民が税金の返還を求める請願を町議会に提出▼4月 職員が一部事務組合へ派遣される▼8月 町が税金の徴収ミスを調べる対策室を設置▽職員が業務評価で最低の0点だったことが判明。職員は「本来あるべき上司との面談もなかった」▼9月 町議会が税金返還を求める住民の請願を不採択▼10月 町長や副町長、担当の課長がミスの責任を取って減給
【2020年】
4月 職員が1人だけの畳部屋の部署に異動

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