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【速報】河井克行元法相に実刑判決、懲役3年 東京地裁100人買収認める 被告側は即日控訴

2021/6/18 13:39
東京地裁へ向かうため、東京都内のマンションを出て車に乗り込む克行被告=18日午後0時35分(撮影・大川万優)

東京地裁へ向かうため、東京都内のマンションを出て車に乗り込む克行被告=18日午後0時35分(撮影・大川万優)

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、地方議員や後援会員ら100人に現金を配ったとして公選法違反(買収、事前運動)の罪に問われた元法相の河井克行被告(58)の判決公判が18日、東京地裁であり、高橋康明裁判長は懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。克行被告は即日収監される。

 【写真でたどる】克行被告の歩み

 克行被告の弁護人は「全く承服できない」として即日、東京高裁に控訴した。再保釈も請求した。

 高橋裁判長は、広島県内の地方政治家40人を含む100人に渡した現金について買収罪の成立を認め、総額が2871万円に上ると認定した。

 量刑の判断については「民主主義の根幹である選挙の公正さを害する。被告が負うべき刑事責任は同種の選挙違反事件と比べて極めて重い」と指摘。「相当期間の実刑に処するのが相当」と述べた。

 弁護側は執行猶予付きの判決を求めていたが、高橋裁判長は実刑が妥当と判断した。安倍政権で首相補佐官を務め、当時官房長官だった菅義偉首相にも近いとされた克行被告に実刑判決が言い渡され、政権運営に影響が出るのは必至だ。

 起訴状によると、自民党の衆院議員だった克行被告は、妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=を当選させるため、19年3〜8月に広島県議や市町議、首長ら政治家40人を含む100人に票の取りまとめを依頼する趣旨などで計2901万円を配ったとされる。100人は公判で検察側の証人として出廷するなどし、うち94人が克行被告らの買収の意図を感じたと認めていた。

 克行被告は昨年8月の初公判で全面無罪を訴えたが、今年3月の被告人質問で主張を転換。100人のうち、90人に渡した金について「案里の当選を得たい気持ちが全くなかったとはいえない」と買収目的を認め、4月1日に衆院議員を辞職した。

 検察側は4月末の論告で「国会議員による前代未聞の大規模買収事件で、票を金で買おうとした。厳罰で臨む必要がある」と指弾。全面無罪主張の撤回や議員辞職についても「刑事責任を少しでも軽くしようとするものにすぎない。反省の情は皆無」と断じ、懲役4年を求刑していた。

 一方、弁護側は5月の最終弁論で地方議員に渡した現金について「広島の政界で孤立していた克行被告が仲間をつくり、次期衆院選で支援してもらうためだった」と主張。克行被告の政治基盤の強化が主目的で、参院選の3カ月前にあった統一地方選に乗じて陣中見舞いや当選祝いを渡したと訴えた。反省し、社会的制裁を受けたなどとして執行猶予付きの判決を求めていた。

 公判は起訴から100日以内に判決を出すよう努める「百日裁判」。現金を受け取った地方議員ら55人の証人尋問などで56回の公判が開かれ、昨年7月8日の起訴から11カ月を要した。

 広島選挙区(改選数2)では自民党が議席独占を掲げ、現職だった溝手顕正元防災担当相(78)に加えて案里氏を擁立。当時の安倍晋三首相や菅官房長官が支援し、党本部は河井夫妻の党支部に1億5千万円を送金するなど後押しした。選挙の結果、野党系の無所属現職森本真治氏(48)と案里氏が当選し、溝手氏は落選した。

 1億5千万円は、自民党本部が溝手氏側に提供した金額の10倍で、党内外から疑問や批判の声が噴出。税金で賄われる政党交付金も原資になっていたが、党本部は提供の経緯や使途の詳細について具体的な説明をしていない。

 案里氏については、県議4人に買収目的で160万円を渡したと認定した懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決が2月に確定。案里氏の当選無効に伴う4月の再選挙では、野党系の諸派新人が自民党の新人候補を破って当選した。

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