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生徒の距離取れぬ教室も 「新しい生活様式」山口県内の学校苦慮(2020年6月27日掲載)

2020/6/27 21:04
生徒同士の机の間隔を空けた教室で飛沫防止のアクリル板越しに話す有田教諭

生徒同士の机の間隔を空けた教室で飛沫防止のアクリル板越しに話す有田教諭

 新型コロナウイルス感染防止で国が示す「新しい生活様式」に山口県内の学校現場が苦慮している。5月25日までに全ての公立校が再開したが、子ども同士の距離の取り方や部活動中の感染対策は現場の裁量に委ねられている。「どこまで対策すべなのきか」と教員たちの試行錯誤が続く。

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 「なるべく距離をとり、密集しないように」。5月の学校再開初日、山口市の平川中の朝礼。有田靖彦教諭(61)が教卓に設けたアクリル板越しにクラスの生徒に語り掛けた。休憩時間には校内を見回り、生徒が固まって話さないよう呼び掛けている。「30年以上教員をしているがこんなことは初めて」と戸惑う。

▽夏休み短縮響く

 文部科学省のコロナ対策のマニュアルは「地域の感染状況に応じ児童生徒の間隔を1〜2メートルとり座席配置を」と規定。1クラスが33〜35人の平川中では席の間隔は約70センチが限界だ。

 山本敦士教頭は「教室の広さを考えるとこれ以上は難しい。できる範囲で対策するしかない」と話す。文科省のマニュアルで「感染リスクが高い」とされる合唱の授業では、生徒一人一人の顔の前にビニールシートを設ける対策を取る。

 また、休校による授業の遅れを取り戻そうと県内の大半の学校が夏休みを短縮することで暑さ対策も課題に浮上する。防府市の小野小は英語の授業で教員手作りのフェースシールドをマスクと並行して着用。吉田睦美教頭は「子どもたちから『暑い』との声があり、状況に応じマスクを外すことも考えないと」と話す。「いつまで対策を続ければいいのかは国や県教委次第なので見通せない」

▽剣道は面マスク

 部活動でも対策に追われる。山口市の西京高剣道部は飛沫(ひまつ)防止のため、面の下にフェースシールドを付けて練習。2年日名内天授主将(17)は「呼気がそのまま返ってきて普段より断然きつい。心肺機能が鍛えられますけど」と苦笑いする。現在は基準が緩和され、フェースシールドの代わりにマスクをして面をかぶるが、息苦しいのは変わらない。

 全日本剣道連盟の感染対策の指針は、対人の稽古では、手拭いなどを口の周りに巻く「面マスク」の着用が必要とする。試合実施のハードルが高く、県高校総体の代替大会は見送られた。顧問の森督(ただし)教諭(48)は「防具を着けての稽古はただでさえ暑い。感染対策と稽古をどう両立させるのか。生徒の様子を注視しながら考えていく」と話す。

 国は5月、「新しい生活様式」のマニュアルを各都道府県教委に通知。月1回程度の改定を予定するが、席の間隔や感染対策が必要な活動の制限がいつ解除されるかは未定だ。文科省健康教育・食育課の大西恵美保健指導係長は「ワクチンが開発されれば対応は大きく変わるかもしれないが、いつになるかは分からない。学校現場でも新しい生活に慣れてもらいたい」としている。(原未緒)

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