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リチウム電池、分別課題 広島・安佐南ごみ焼却施設火災、全国で出火相次ぐ

2021/6/22 23:22
衝撃で発火したリチウムイオン電池(広島市提供)

衝撃で発火したリチウムイオン電池(広島市提供)

 広島市安佐南区のごみ焼却施設「安佐南工場」で火災が発生し、可燃ごみの焼却が長期間止まっている問題で、市は発火源の候補の一つにリチウムイオン電池(LIB)を挙げている。多くの家電製品に組み込まれて暮らしを便利にする一方、全国のごみ処理現場では出火原因となる事例が相次いでいる。いったん火災に見舞われると復旧などで多額の費用がかかるため、市は新たにチラシを作り、分別を徹底するよう呼び掛けを強めている。

 市のチラシはA4判カラーで、「発火する可能性のあるごみに注意」と呼び掛ける。最初にLIBを挙げ、「強い衝撃が加わったり変形したりすると、発熱、発煙、発火するなど大変危険」と指摘。LIBを捨てる場合、接続部分をセロハンテープで留めて絶縁する▽充電式小型家電では外したLIBをリサイクルに回す―などと案内する。

 計6万枚を刷り、大学や不動産会社、スーパーなどに配っている。市民や転入者たちに渡してもらい、LIBなどを可燃ごみに絶対に混入しないよう促す狙いだ。市業務第一課は「火災は、分別の不徹底で引き起こされた可能性が否定できない。LIBは適切に処理してほしい」と訴える。

 LIBによるごみ処理施設やごみ収集車の火災は全国で続発している。

 市消防局によると、LIBが発火源となった収集車の火災が、ここ5年間で2件あった。環境省の初の実態調査では、LIBなどの充電式電池が原因となり、全国の処理施設や収集車で生じた火災(発煙や発火など)は2019年度に計9732件。LIBが残ったままの電気・電子機器が不燃ごみに混入した量は約2500トンと推計された。

 今年1月7日の安佐南工場の火災を巡っては、市は焼損したクレーンや消火設備の現状復旧費だけで4億9500万円と見積もる。稼働停止に伴って周辺自治体にごみ処理を頼み、委託料や運搬料で3月末までに2400万円を要した。再開時期は未定のため、費用はさらに膨らんでいる。

 火災は可燃ごみをためる「ごみピット」で発生し、半月後の1月22日に鎮火した。市消防局の調査で、焼け跡から発火源となるリチウムイオン電池やガスの残ったライター、カセットボンベが見つかった。市は、ピット内のごみを移動させるクレーン作業の衝撃で、いずれかから出火した可能性が高いとみている。(余村泰樹)

 <クリック>リチウムイオン電池(LIB) 正極と負極の二つの電極の間にセパレーターを挟み、内部を浸す電解液を通じてリチウムイオンが行き来することで充放電を繰り返す電池。軽量で大容量、高出力なのが特徴で、携帯電話や充電用モバイルバッテリー、加熱式たばこ、コードレス家電などに広く使われている。一方で電解液は可燃性のため、衝撃で発火するリスクが高い。日本容器包装リサイクル協会(東京)によると、全国のプラスチックのリサイクル工場での発煙・発火は2020年度に285件で、15年度の6・8倍に増加。うちLIB関連は77・2%の220件を占めた。

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