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図書館船 有終の航跡 瀬戸内海の子に夢届けた20年 日誌 船長遺族が保管(2016年6月11日掲載)

2021/7/7 22:35
植田船長の航海日誌。1981年7月31日に宇品港で退船式が開かれたとある

植田船長の航海日誌。1981年7月31日に宇品港で退船式が開かれたとある

 全国唯一の図書館船として1962年から約20年間、瀬戸内海の島の子どもたちに夢を届けた「ひまわり」の航海日誌が残っていたことが10日、分かった。最後の船長の植田増義さん(2011年に79歳で死去)の遺族が自宅で保管していた。運航していた広島県立図書館(広島市中区)は「島に文化を届けた歴史が分かる貴重な資料」としている。

 日誌はB5判。81年4月6日から8月5日までの間の計39日をつづる。運航中の出来事として、三原港(三原市)から忠海港(竹原市)まで向かった際、経由した田熊港(尾道市因島)で本500冊を入れ替えたことや、現在では小学校に児童が6人しかいない尾道市の百島で、当時は児童70人が集まったという記述もある。

 船には、元海上保安庁職員の植田船長と乗組員、司書の職員計3人が乗船。日々の天候や風力、燃料の減り具合や航行時間なども細かく記録し、出港時にロープがスクリューに巻き付いて航行を中止したというトラブルも記載している。

 廃止直前には、走島(福山市)や佐木島(三原市)などの港で「花束を受けた」と記され、子どもたちが別れを惜しむ様子がうかがえる。81年7月31日のページによると、宇品港(広島市南区)で退船式が開かれ、約20年の役目を終えたという。

 引退後の船体は現在、尾道市瀬戸田町のB&G海洋センターの敷地内で展示されている。老朽化が進んでいた船を同町の医師永井晃さん(71)たちが昨年3月に改修し、ことし4月には船内で本の読み聞かせイベントが開かれた。

 船が現存することを新聞で知った植田さんの長女中野秀子さん(56)=広島県坂町=が5月、活用してほしいと日誌を永井さんに寄贈した。中野さんは「子どもが喜ぶ当時の姿が、今も思い浮かぶ」と話す。永井さんは「多くの人に船の功績を知ってほしい」として、県立図書館に近く寄贈する。同館の植田佳宏副館長は「航行していた時に記された資料は全く残っていない。活用策を考えたい」としている。(新山京子)


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  • 退船式で宇品港に係留されたひまわり(1981年7月)

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