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【速報】「黒い雨」訴訟 首相が上告断念の意向を表明

2021/7/26 16:46

上告断念の意向を表明する菅首相(26日午後4時25分、官邸)

 広島への原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡り原告84人(うち14人は死亡)全員を被爆者と認めた広島高裁判決で、菅義偉首相は26日、上告を断念する意向を固めた。複数の関係者が明らかにした。黒い雨に遭った人は被爆者に該当するとした上で、原告が「いずれも黒い雨に遭ったと認められる」と結論付けて全員に被爆者健康手帳を交付するよう命じた高裁判決が、28日の上告期限を前に「政治決着」で確定する見通しとなった。

 訴訟で被告となっている広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長と同日夕、首相官邸で非公開で会談し、上告断念を伝える。湯崎知事と松井市長は被害者の高齢化などを理由に、上告断念による裁判の終結と、幅広い救済への「政治判断」を迫っていた。

 高裁判決は、黒い雨を巡る初の司法判断となった昨年7月の一審広島地裁判決に続き、原告の84人全員を被爆者と認めた。黒い雨が国の援護対象区域(大雨区域)より広範囲に降ったとし、国の「線引き」の妥当性を否定。現行の被爆者認定の枠組みを広げる判断も示し、国に認定の在り方の抜本的な見直しを迫った。

 黒い雨には放射性降下物が含まれていた可能性があるとし、内部被曝(ひばく)による健康被害の影響を重視。一審判決が認定要件とした、がんや白内障など11疾病の発症にとらわれず、黒い雨に遭った人は被爆者に該当するとした。

 訴訟では、手帳の交付が国からの法定受託事務のため、実務を担う県と市が被告となった。国はこれまで高裁判決について、田村憲久厚生労働相が20日の記者会見で「容認しづらい」と述べ、内部被曝による健康被害の可能性があれば被爆者と認めるべきだとした点を疑問視。23日には厚生労働、法務両省の幹部が市役所で県、市の幹部と会い、最高裁へ上告するよう要請していた。


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