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濁流の爪痕、恐怖今も 広島市安佐北区鈴張、大雨被害ルポ

2021/8/16 21:58

濁流のため塀や庭の一部が崩れ落ちた鈴張川沿いの民家

 ▽復旧難航 「元の生活いつ」

 崩れ落ちた民家の塀やひび割れた路面が、襲った濁流の激しさを物語っていた。山あいに集落が点在する広島市安佐北区安佐町鈴張は、記録的な大雨による河川の氾濫などで大きな被害を受けた。16日、あちこちに爪痕が残る現場を歩いた。

 コンビニや老人ホームなどがある鈴張の中心部の郷(ごう)地区。地区を流れる鈴張川沿いでは、民家のブロック塀や庭の一部が崩れ落ちていた。畑の小屋も無残につぶれていた。近くの別の川沿いにある鈴張小の通学路は長さ約20メートル、幅約3メートルにわたって崩落。路面は波打つように割れ、えぐられていた。

 「13日の朝は滝のような雨だった。店の前の鈴張川の水位が、まさか橋の高さを越えるなんて」。地元の商店に勤める今井利之さん(57)は振り返った。

 鈴張川や上流の河川の流れはいつもは穏やかで、生き物を捕って遊ぶ子どもたちもいる。そのおとなしい川は、13日朝にかけて一変した。「大きな岩が転がってきた」と証言する住民もいた。水位は急激に上昇し、あふれた濁流が集落を襲った。

 「異変に気付いた時には逃げられず、自宅で祈るような気持ちだった。助かってよかった」と会社員山本敏之さん(67)。自宅前の自らの水田では、青々とした稲がなぎ倒されていた。

 再び大雨が降るとの予報の中、住民は、自宅前などにたまった泥やがれきを急いで取り除いていた。「蒸し暑い中での作業は体にこたえる」「いつになったら元の生活に戻れるのか」。口々にそう訴えた。

 14日から約800世帯で続いていた断水は16日正午に解消されたものの、道路や護岸、田畑などの復旧には相当な時間がかかりそうだ。「被害が集中した地域の高齢化率は約5割に上る。家や畑に入った土砂をかき出す作業は、住民だけでは限界がある」。鈴張学区連合自治会長の仲本昌二さん(77)は憂えた。(重田広志、写真も)

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