• トップ >
  • トピックス >
  • 大好きな人、今も心に 広島土砂災害の被災地に奈良から通う水越さん

トピックス

大好きな人、今も心に 広島土砂災害の被災地に奈良から通う水越さん

2021/8/20 23:52

高野さんの自宅跡を古田さん(右)と訪れ、手を合わせる水越さん(撮影・高橋洋史)

 「また遊びたかった。たくさん話もしたかった」。広島土砂災害で大叔母の高野千津子さん=当時(60)=を亡くした水越桃華さん(24)が20日、奈良市から被災地を訪れた。さら地となった高野さんの自宅跡に、花と線香を供える。「ちいねえちゃん…」。大好きな大叔母に思いをはせた。

 【写真】広島土砂災害7年 8月20日の被災地

 10人が犠牲になった広島市安佐南区八木4丁目の八木ケ丘団地。水越さんは、復興工事が進む団地の一角で、祖母であり、高野さんの姉の古田美恵子さん(69)と手を合わせた。「社会人、頑張ってるよ」。心の中で語りかけた。

 【特集】広島土砂災害7年 定点写真など

 11日から降り続く雨の影響で、近くの砂防ダムからは勢いよく水が流れ出ている。「当時は怖かっただろうな」。自宅ごと一瞬にして土砂にのまれた大叔母の最期を思い涙を浮かべた。

 誕生日は1日違い。43歳の差がありながら、「ちいねえちゃん」「ももちゃん」と呼び合う間柄。高野さんには子どもがおらず、水越さんを孫のようにかわいがってくれた。水越さんも「常に味方でいてくれて、何でも話せる存在」と慕っていた。高野さんが、奈良にたびたび遊びに来ては一緒に出掛けた。

 2014年8月。高校2年生だった水越さんは、災害の少し前に高野さん、古田さんと大阪市内のテーマパークで遊んだばかりだった。20日、広島市を襲った土砂災害をテレビで知った。八木地区の変わり果てた光景。「もしかして」。何度電話してもつながらない。避難所に問い合わせたがいない。高野さんは夫の和郎さん=当時(58)=とともに帰らぬ人となった。

 「ただただ会いたいの一言」と7年を振り返る水越さん。今は金融機関に勤め、窓口業務を担当する。高野さんがかつて銀行に勤務していたことも、仕事選びに影響した。車も運転できるようになり、墓参りなどのため年に数回、車で片道6時間かけ、古田さんたち家族と広島を訪れる。

 「仕事のことを話せば、分かり合えただろうな」。切に思うのに、もう声を聞くことはできない。

 今もスケジュール帳に高野さんの写真をしのばせ、スマートフォンには「ちいねえちゃん」と登録した番号が残る。毎冬、高野さんがのこしたコートを羽織る。「どれも一生、大切な宝物です」。決して色あせることのない記憶と生きていく。(浜村満大)


この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

トピックスの最新記事
一覧

  • 中国地方の新型コロナウイルス感染確認者数 (10/22)

     中国地方の新型コロナウイルス感染確認者数【グラフ】広島県の新型コロナウイルス感染者数と医療提供状況【グラフ】山口県の新型コロナウイルス感染者数と医療提供状況【グラフ】岡山県の新型コロナウイルス感染者...

  • 広島市、投書者の勤務先に情報漏えい 勤務外された男性、告訴検討 (10/22)

     広島市が、市役所での新型コロナウイルス対策の改善を求めて市に投書した男性(61)の情報を勤務先の会社に漏らしていたことが分かった。市は情報漏えいを認めて男性に謝罪。男性は職場で不利益を受けたと訴えて...

  • 30年度に再生エネ倍増 基本計画閣議決定、原発20〜22%を維持 (10/22)

     政府は22日、中長期的な政策指針「エネルギー基本計画」を約3年ぶりに改定し閣議決定した。第6次となる今計画は2050年の脱炭素化達成の道筋を示すもので、再生可能エネルギーを最優先で導入する方針を明記...

  • 原発の「地元」 新増設記載なしに意見交錯 (10/22)

     22日に閣議決定した国のエネルギー基本計画は再び原発の新増設を記載しなかった。中国電力が新設を計画する山口県上関町では、推進派は新増設の議論を深めるよう求め、反対派は「当然」と受け止めた。ただ、原発...

  • 特殊詐欺4833万円被害、サイト利用料未払いなどかたる 竹原 (10/22)

     竹原署は22日、サイトの利用料未払いなどをうたう特殊詐欺で、竹原市の60代会社員男性が4833万円をだまし取られたと発表した。【関連】「個人情報漏れている…」70代女性が1379万円被害【関連】「還...