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【東京五輪・パラ】道下、恩師の手紙が支え 「真珠、時をかけ輝く」 パラ女子マラソンで金

2021/9/5 22:45
女子マラソン(視覚障害T12)で金メダルを獲得し笑顔を見せる道下(撮影・浜岡学)

女子マラソン(視覚障害T12)で金メダルを獲得し笑顔を見せる道下(撮影・浜岡学)

 東京パラリンピック最終日の5日にあった女子マラソン(視覚障害T12)で、下関市出身の道下美里(44)=三井住友海上=が金メダルを獲得した。徐々に視力を失う不安と失望を乗り越えた先の栄冠。レース後、かみしめるように言った。「これが夢に見た世界。幸せだな」。希望を与えてくれたのは17年前の恩師からの手紙だった。

 病気のため中学2年で右目を失明。25歳で左目の視力もわずかになった。調理師の仕事を辞め、喪失感の中で26歳の時に山口県立盲学校(現下関南総合支援学校)に入学。多くの人や陸上競技のおかげで前向きになれた。中でも光を照らしてくれたのが国語科教諭の玉木千恵さん(60)だった。

 弁論大会の代表となり、温かな指導を受けると中国四国地区大会で最優秀賞に選ばれ、全国大会に出場した。すると玉木さんが手紙をくれた。読めるように黒い紙に白いインクペンで書かれた言葉が心に響いた。

 「美里さんは真珠。真珠は稚貝のときに身の内に入り込んだ異物を自分の粘膜で長い時をかけて覆い、美しい珠(たま)に仕上げます。美里さんの異物は視覚障害だったかもしれません。環境の変化や新しい異物や傷を受けながら、それらさえも全て抱き込み覆い尽くし、大きく深い輝きを放つ宝石に成長する真珠。さまざまな種類の宝石はそれ独自の輝きをもっています」

 退職し、下関市で暮らす玉木さんは「美里さんの生き方の美しさに感動させてもらい自然に出た言葉」と振り返る。手紙には「年を重ねられるにつれ、さらに美しい深い深い輝きを身につけられることでしょう」ともつづられていた。その言葉に背中を押されるようにゴールした道下は笑顔で言った。「先生が言ってくださったように金色の真珠になった」(中橋一誠)

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