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楽しい給食、今は黙食 広島県の学校が感染対策、会話我慢や挙手でお代わり

2021/9/10 22:52
「黙食」をする白島小の児童。お代わりを希望する児童は黙って手を挙げる

「黙食」をする白島小の児童。お代わりを希望する児童は黙って手を挙げる

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が30日まで延長された広島県内で、小中高校などが、給食や昼食の時間に級友たちと話さずに食べる「黙食」に取り組んでいる。子どもたちは楽しみなランチタイムに我慢を強いられ、教員は感染対策と食育指導との両立に心を砕く。広島市中区の白島小を訪ね、ある日の給食時間をのぞいてみた。

 午後0時5分。4時間目の音楽の授業が終わった1年2組(27人)の教室で「わー」「給食だ」という声がマスク越しに漏れた。献立はマーボー豆腐や春雨と野菜の炒め物。白いエプロンを着けた給食係の児童が給食室から戻り、食器に盛り付けるのを、子どもたちはお盆を持って待った。

 「ソーシャルディスタンスを取って並びましょう。おしゃべりはなしです」。担任の矢野陽子教諭が声を掛ける。密にならないように注意する一方、「どんどん前に進んで。間に合わないよ」。45分間で片付けまでを済ませるため、焦りをにじませた。

 配膳が終わり、全員が席に着いた。机の配置は授業中と同じで、みんな前を向いている。「手を合わせましょう。心を込めていただきます」。マスクを一斉に外して食べ始めると、「カチャカチャ」と食器に箸が当たる音だけが響いた。下を向いて頬張り、誰もしゃべろうとしない。

 15分後。完食した児童が「食べ終わったよ」と声を上げた。矢野教諭は「すごいね」と褒めた一方、「まだ、しー(静かに)だったね」。早く食べ終わった児童はマスクを着け、黙って自習を始めた。

 お代わりを希望する児童には手を挙げさせた。「静かにね、先生が配るから大丈夫」。児童が黙っている分、マスク越しに小さな声で語りかけているという。

 コロナ禍前、児童たちは机を合わせ、向かい合って食べるのが「日常」だった。今の1年生は黙食しか経験していない。大野豊悟さん(7)は「みんなコロナにならないように頑張っているから、僕も頑張る」。

 市教委は、県が8月27日に緊急事態宣言の対象となったのを受け、各校に黙食をさらに徹底するよう通知した。矢野教諭は「おしゃべりしながら楽しく給食を食べさせてあげたいのが本音。早くコロナが落ち着いてほしい」。昼休憩にマスク姿でじゃれ合う児童を見つめ、早い収束を願った。(中川雅晴)

 <クリック>黙食 会話せずに無言で食事をするという意味。広島県教委や広島市教委は、学校向けの8月26日付の通知で、夏休み明けの授業で対面を続ける一方、給食や昼食の際は「黙食」を徹底するよう求めた。 

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