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【落日の工藤会 トップ極刑判決】壊滅作戦、相次ぎ成果 福岡県警、延べ448人立件

2021/9/15 4:58

 特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)のトップらを逮捕した福岡県警の工藤会壊滅作戦の着手から11日で7年となった。同県内では、暴力団が関与したとみられる市民襲撃事件が、作戦に着手した2014年9月までの約7年9カ月の間には年平均で10件程度起きていたが、同月以降の6年余りでは計2件に激減した。多発していた発砲事件も一気に沈静化した。工藤会系組員を徹底的に立件した異例の捜査が直接的な効果を上げただけでなく、ほかの暴力団に対しても抑止効果を発揮した可能性がある。

 ◆市民襲撃・発砲事件・構成組員、7年で減少

 県警が統計を取り始めた07年以降、暴力団が関与したとみられる事業者ら市民への襲撃事件は14年9月までの間に78件発生。年間で最も多い11年は17件に上った。県警が立件したのは21件。県警は地区別や暴力団ごとの件数を公表していないが、10年ごろから北九州地区では工藤会が関与したとみられる事件が相次いだ。

 これに対して14年9月以降は、16年と18年に1件ずつの計2件に減った。

 暴力団によるとみられる発砲事件は、工藤会以外の団体が抗争事件を繰り返していた時期もあり、13年までの10年間に98件に上り、最も多い04年は18件だった。しかし、14年以降の7年間は計4件にとどまっている。

 県警は14年から今年6月末までに、延べ448人の工藤会系組員を立件した。

 1998年の元漁協組合長射殺など市民襲撃4事件で、福岡地裁は8月24日、工藤会トップで総裁の野村悟被告(74)に死刑、ナンバー2で会長の田上不美夫(たのうえ・ふみお)被告(65)に無期懲役を言い渡した。このほか暴力団員の入店を禁じる「標章」を掲げた飲食店が入る北九州市のビル2棟が放火された事件や、11年に同市で建設会社役員が射殺された事件でも組幹部らを逮捕、起訴している。

 工藤会の組員は、ピークだった08年末の730人から昨年末は220人に減り、うち約半数は服役・勾留中。県警は14年から昨年までの間、計254人の工藤会系組員を離脱させた。

 県警の国本正春暴力団対策部長は「未解決事件の捜査を継続し、工藤会への加入阻止や組員の離脱支援にも力を入れる。文字通り壊滅させるまで対策は続ける」と強調した。

 ◆「警察が24時間監視」 元組員、作戦下の日々語る

 「警察に24時間監視されているようだった」

 福岡県警の支援を受けて特定危険指定暴力団工藤会を約5年前に離脱した30代男性が、西日本新聞の取材に応じ、壊滅作戦開始前後の組員としての日々を振り返り、「落ち着いて外を出歩くこともできなかった」と語った。

 男性は高校卒業後、いくつかの会社で働いたが、仕事で納得できないことがあれば反発し、けんかを繰り返した。10年ほど前、「社会に居場所がない」と感じるようになり、以前から憧れていた工藤会系組幹部を頼って組員になった。

 北九州地区では市民や企業を狙った襲撃事件が相次ぎ、県警は2014年9月に壊滅作戦に着手。街頭での取り締まりや警戒も厳しさを増し、車を運転していると警察官に停止を求められ、職務質問を受けた。

 憧れていた組幹部が服役したことを機に、知り合いの刑事に相談して組を抜け、運送関連会社への就職も支援してもらった。上司や同僚は、男性の過去を知った上で分け隔てなく接してくれる。子どもの成長が生きがいになり、妻も安心した様子だという。

 男性は「働けば自分のお金が入り、自由に生活できるようになった。気が楽になった」と話した。
(西日本新聞提供)

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