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就活セクハラで傷つき葛藤 「女らしくない」「彼氏いるの?」 アプリ悪用し私的な誘いも

2021/9/20 22:42

面接でショートカットを否定された広島市の女子学生は内定を辞退した(広島市西区)

 企業の採用面接やインターンシップでの「就活セクハラ」に悩む学生が、広島県内でも少なくない。外見を否定されたり、交際相手について聞かれたり。学生は立場が弱い上、社員と一対一で会えるマッチングアプリが普及したことも背景にあるようだ。

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 「何でショートカットなの? 女らしくない」。中堅の男性社員から高圧的に言われ、広島市安佐南区の女子学生(21)は驚いた。今年2月に受けた東京の人材派遣企業のオンライン面接。勇気を出して「私はずっと短い髪が好きだし、自分の個性だと思います」と答えた。

 すると、「あっそ。別にいいけど、就活では長い髪の一つ結びが常識でしょ」と説教モードに。どんなスーツを着ているか見たいから立ち上がってと求め、パンツスーツと分かると不快な表情に。納得いかなかったが、最終面接はロングヘアのエクステンション(付け毛)で臨んだ。2万円の美容院代は痛いが、内定が欲しかった。スーツもスカートにした。

 ▽不信で内定辞退

 友人に愚痴ると「それ完全にセクハラじゃん」と指摘された。内定をもらったが不信感が消えず、辞退することに。女性が働きやすいと評判の広島市のメーカーへの入社を決めた。

 振り返ると、他社でも似たような経験があった。昨年インターンに行った大阪の観光関連企業の男性社員も、短い髪に駄目出しした。パンツスーツを見て「スカートで来るもんじゃない? 普通は」とチクリ。周りの女子学生は全員スカートだった。「個性を尊重するとPRする企業は多いけど、うわべだけですよね」

 南区の女子学生(21)は、面接で「彼氏いるの?」と質問されて凍りついた。「います」と返事すると、「付き合って何年? 結婚の予定は? 仕事と彼氏どっちが大事?」と根掘り葉掘り。真意が分からず、口ごもると「仕事もろくに覚えないうちに、結婚して妊娠する子が多くてねー」と本音がぽろり。「アウトな発言」と感じたが、内定欲しさに笑ってごまかした。

 気になる企業の社員と知り合えるマッチングアプリを悪用するケースもある。福山市の女子学生(22)は、アプリで関西の企業の男性とつながった。無料通信アプリ(LINE)の交換を求められ、すぐに「アイコンの写真かわいいね。飲みに行こうよ」「広島出張があるから案内して」と私的な誘いが届き始めた。

 ▽出会い系代わり

 このアプリを「出会い系サイト」代わりに使う人がいて、セクハラの温床になっているのは知っていた。でもエントリーシートの添削や人事部への口利きをちらつかせてくる。断ったら選考に影響しないかと怖かった。

 悩んでいた昨年末、アプリで知り合った女子学生を乱暴したとして大手の社員が逮捕された。自身は利用をやめたが、「大企業に入りたくてリスクを承知で使う学生は少なくないはず。コロナ禍で、社員と直接会って助言してもらう機会はますます貴重になってますから」(ラン暁雨)

 ▽4人に1人被害

 2017〜19年度に大学などを卒業した男女千人を対象にした厚生労働省の調査では、就活でセクハラ被害の経験があると答えたのは25・5%で4人に1人。「性的な冗談やからかい」が4割と最多だった。「食事やデートへのしつこい誘い」が続き、「性的な言動を拒否したことで内定取り消しなど不利益な取り扱いをされた」人もいた。

 広島弁護士会の寺西環江(たまえ)弁護士は「被害は氷山の一角で、泣き寝入りするケースは少なくない」とみる。何がセクハラに当たるのか知らない学生も多く「大学側の啓発に加え、企業も相談窓口の設置など対策が必要」と強調した。


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