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保育に問題、補償はなく 福山の市立保育所事故3年、男児今も意識不明

2021/9/26 22:59
第三者委の報告書を手に、思いを語る男児の母親

第三者委の報告書を手に、思いを語る男児の母親

 福山市内の市立保育所で1歳の男児が離乳食を喉に詰まらせ窒息状態となり、意識不明になった事故から10月で3年を迎える。事故後、市が設置した第三者委員会は保育上の問題点があったとの報告書をまとめたが、家族に対して市の補償はない。男児の意識は戻らず、母親(30)は市を相手に損害賠償訴訟の準備を進める。専門家は「市は責任を明らかにし、施設側に落ち度があったなら訴訟になる前に補償すべきでは」と指摘する。

 事故は2018年10月11日、保育室で昼食中に起きた。男児がいすに座ったまま眠りかけたため、保育士が抱きかかえたところ、急に泣きだし、呼吸が確認できなくなった。保育士に抱かれた際に驚いて口の中にあったリンゴ片が喉に詰まったのが原因とされる。男児は病院に救急搬送されたが、意識不明になった。

 母親によると、事故後、保育所から謝罪を受けたが、これまで市からは「何の補償もない」という。パートを掛け持ちして男児を含む2人の子どもを1人で育てている。男児は障害者施設に入所中。保育所に入園させる際に加入した保険で医療費の一部などを賄うが、施設の利用料や購入した福祉車両などの負担が重くのしかかっている。

 一方、市が事故後に設置した第三者委が19年3月にまとめた報告書には保育上の課題や改善点が記されている。食事の介助では眠気があると感じた段階で食事を切り上げるべきだったと指摘。保育士が(リンゴ片を)のみ込んだと思い込み、男児の口の中を確認せず、いすから抱き上げた点にも言及した。背中をたたいて何も出なかったら異物除去を中止し、心肺蘇生に切り替えるべきだったとも指摘している。

 母親はこうした内容を踏まえ、市側に金銭的な補償を求めてきたが、市は応じず、民事訴訟を勧めたという。市保育指導課は「現行制度で利用できるものがないか探したが、見つからなかった」とする。国と広島県にも同様の制度はなく、仮に保育所で事故が起きても補償を求める場合は訴訟するしかないのが実情だ。
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