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客足戻り始めた矢先 エキニシ火災、飲食店主に落胆広がる

2021/11/10 21:42

炎を上げて激しく燃える飲食店などの建物=10日午前5時54分、広島市南区大須賀町(撮影・浜村満大)

 JR広島駅西側の飲食店が連なる通称「エキニシ」(広島市南区大須賀町)で10日早朝に発生した火災。隣接する約30棟が瞬く間に炎と煙に包まれ、街は騒然となった。新型コロナウイルス禍の広島県の集中対策が明け、一帯には待ち望んだ「日常」が戻り始めたばかり。「年末前なのに」「先が見えない」―。飲食店主たちに不安と落胆が広がる。

 古い木造家屋が壁1枚を隔ててひしめき合うエキニシ。ラーメン店を営み、出火直後に現場へ駆け付けた山本隆宏さん(70)は「火の勢いがすごく、もう消せんと思った。生きた心地がしなかった」と一気に燃え広がった様子を語った。

 県の集中対策が明けて3週間余りたち、店を「はしご」で楽しむ人も少しずつ増えていた中での災難。延焼エリア内の韓国料理店代表の寺本裕治さん(38)は「年末年始に向けて頑張ろうと思っていたのに残念。いつから営業できるか見当がつかない」と不安そうな表情を浮かべた。

 自身が営む飲食店が焼けたという男性は「コロナ禍でも安全に営業できるよう、店内を改装して準備していた。近々、再開する予定だったのに」とうつむいた。

 エキニシでは、2018年1月にも住宅を含む19軒が焼ける火災があった。当時、経営する日本酒バーが被災した丸山敬三さん(46)は「なじみの客が来てくれて、ようやくというところに、またかという思い。安心して営業したい」。カラオケスナック店の斉藤美代子さん(76)は「一軒一軒が防火の意識を持たないと。火事の後、みんながお店を続けられるか心配」と同業者を案じた。

 エキニシの商店主たちでつくる駅西商業センター自治会によると、18年の火災を受け、灰皿の処理の徹底などの対策を進めてきたという。18日には、消火器の扱い方などを学ぶ防火訓練を行う予定だった。佐久間敬会長(54)は「前回の火事の後にオープンしたお店も多く、防火の意識を共有する狙いだった。まさかこのタイミングで火事が起こるとは」と嘆く。

 今回の詳しい出火元や原因、各店の再建の見通しはまだ分からない。延焼したエリアに経営するビアホールがある高岡隆一さん(41)は「客足が戻るのに時間がかかるかもしれない。街のイメージが良くなるよう、個人で努力するだけでなく周りの店と連携を図っていきたい」と話していた。

 ▽広島市、被災者に市営住宅提供 ごみ処理費の一部負担も

 通称「エキニシ」の火災を受け、市は被災者の仮住まいとして市営住宅を提供する。火災で出たごみは2018年の火災と同様に集積場を設け、処理費の一部を負担する。

 市は火災で住宅を失った市民に対し、市営住宅を家賃無料で最長3カ月貸している。光熱水費や共益費は自己負担だが、保証人や敷金、返還時の修繕費は不要となる。18年の火災では5世帯6人に中区と南区の住宅をあっせんした。

 南区建築課は、火災に備えて確保している同区内の市営住宅などへの入居を想定。他区の市営住宅も含めて準備を進めているという。通常は先着順で入居者を決めるが、希望者が多ければ説明会を開いて抽選する方法も検討する。

 火災で出た家庭の大型ごみの収集費は市が負担する。通常は有料という。冷蔵庫など家電4品目のリサイクル料は自己負担してもらう。地元の自治会長と調整し、ごみ集積場の場所や回収を始める時期などを決める。南区建築課Tel082(250)8959。(余村泰樹) 

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