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【天変 教訓は生かされたのか】<上> 勧告踏み切れず いったん小康状態 先送り

2014/8/22 10:45

 広島市安佐南、安佐北区を20日未明、未曽有の土砂災害が襲った。多発した土石流は軟弱な地盤など、広島特有の条件に起因。そして市の避難勧告は遅きに失した。なぜ過去の教訓は生かされなかったのか。行政や地域の課題を検証する。

 「メールや行政無線で注意を呼び掛けた時点で避難勧告にしていたら、結果は違っていたかもしれない」。市消防局危機管理部の金山健三部長は悔いる。

 今回の災害で市が最初の勧告を出したのは20日午前4時15分。既に、安佐南区、安佐北区の各地で家屋がのみ込まれていた。

 なぜ勧告が遅れたのか。タイミングは、それ以前に少なくとも2回あった。最初は、午前1時15分に広島地方気象台と広島県が「土砂災害警戒情報」を発表した時点。大雨警報を超え「避難勧告に相当する程度の雨量」(同気象台)を意味する。

 県は避難勧告を電話で促した。だが、市は災害警戒本部を設置するにとどめる。市消防局の久保富嗣防災課長は「いったん小康状態になったこともあり、豪雨は想定外だった」と語った。勧告の「空振り」を続ければ警戒感が薄れる―。一部の専門家の指摘も頭にあった。

 15年前、広島市などで32人の死者と行方不明者が出た「6・29豪雨」でも、「勧告が遅い」と批判を浴びた。これを教訓に市は、勧告を出す五つの指標を設定。雨量の指標は、土壌に染みた分と予想雨量を加味した「避難基準雨量」を市内52地区ごとに設けた。

 午前3時、職員がパソコンで計算してはじいた安佐南区八木、緑井地区の雨量は194ミリと、基準値(160ミリ)を超えた。勧告を出す2回目のタイミングだった。5指標のうち、一つでも基準を超えたら勧告を検討する。だが、ここでも「必ず出すわけではない」と先送りした。

 最初のタイミングから、実際の発令までに生まれた約3時間の「空白」。対応する職員を増やし、対策本部を設けた午前3時半には、既に安佐南区山本で土砂崩れが発生していた。(馬場洋太)


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