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捜索は時間との闘い 強い雨で再三中断

2014/8/23 0:03

生存率の「72時間の壁」が迫る中、不明者捜索を急ぐ広島市安佐南区緑井7丁目の現場(撮影・増田智彦)

 時間との闘いが続く。未曽有の土砂災害に遭った広島市安佐南区と安佐北区での、行方不明者の捜索活動。22日、災害発生から3日目を迎えた。「72時間の壁」を超えると、生存率が大きく下がるとされる。捜索はしかし、断続的な雨や二次災害の恐れから再三中断。被災地を焦りが包む。

 行方不明者の捜索に当たるのは、警察や消防、自衛隊の合わせて約2500人。「救える命がきっとある」「待っている人のためにも」。がれきを除き、土砂を掘る手に力がこもる。

 捜索は、21日から夜通しの予定だった。けれども、断続的な強い雨で中断。半日も時間をロスし、22日午前9時すぎに再開した。

 約500人を投入している陸自隊。46普通科連隊(広島県海田町)の一宮大介連隊長(46)の表情は険しい。「雨が降って地面がぬかるみ、重機を入れることができない」。せっかく運んできた掘削機やパワーショベルが使えない。シャベルやチェーンソーでの手作業を余儀なくされている。

 NPO法人が投入した災害救助犬も、汚泥に嗅覚がにぶる。この日、倒壊家屋から生存者のにおいをかぎ取ることはできなかった。

 「全員、急ぎ下山せよ」。午後3時ごろ、行方不明者の捜索現場に緊張が走る。現地の消防や自衛隊に「山が崩れているのでは」との情報が入ったからだ。緊急退避の指示が、無線や電話で飛び交った。現況を確認するため旋回するヘリコプター。捜索する側も、危険のふちにいることをあらためて実感させられた。

 一般的に、生き埋めとなった人の生死の境とされるのは発生から72時間。その「壁」が23日未明に迫っていた。「この雨がもどかしい」。広島市消防局安佐南消防署の吉塚利行警防司令官は恨めしそうに天を仰ぐ。「救助を待つ家族のためにも全力で救出を急ぎたい」。雨が上がった午後からは、消防や警察、自衛隊が順次、活動を再開した。最後まで望みを捨てず、徹夜での捜索作業を続ける。(村島健輔、堀晋也)


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