トピックス

復旧へ善意の輪 ボランティア始動

2014/8/23 23:55

住宅の前の土砂を取り除く作業を終え、労をねぎらい合う新沼さん(奥左)たち

 広島市の土砂災害の発生から最初の週末を迎えた23日、復旧を後押ししようと、市内だけでなく全国からボランティア有志が被災地に訪れ、活動を本格化させた。「感謝を形で返したい」。東日本大震災の被災地からも駆け付け、初日は少なくとも1300人が結集した。地域を越え、世代を超えて、善意の輪が広がった。

 土石流で大きな被害が出た安佐南区緑井8丁目には、東日本大震災で被災した岩手県大船渡市の新沼暁之(たかゆき)さん(39)の姿があった。「全国の人たちに助けられた恩返しがしたい」。フェイスブックで知り合った山口県や東京都の仲間たちとともに、土砂の除去に汗を流した。

 昨秋つくった緊急災害支援チーム「311kara(カラ)ts(ッツ)。」の代表。東京のホテルで20日朝、土砂災害を知り「ほっとけない」と、飛行機に飛び乗った。現場にあったのは、明日が見えない表情、現実を受け入れられない顔―。3・11の記憶と重なった。

 この日は、東京のメンバーとも合流。住宅の玄関先や駐車場にたまった土砂のかき出しなどに精を出した。震災でプライバシーのない避難所生活を知るだけに「土砂で玄関のドアが開かず、家に戻れないだけでも大変」とスコップを握る手に力を込める。

 手伝ってもらった会社員加藤郁洋(いくみ)さん(29)は「岩手からと聞いてびっくり。『あしたも来るよ』と声を掛けてもらい、励まされた」と頬を緩めた。

 新沼さんは震災の直後にボランティアを始めた。津波で自宅と経営する飲食店を失い、打ちひしがれていたとき、「自分の時間とお金を犠牲にして駆け付けてくれた人たちの姿から、人の心を知った」。1人で活動を始め、昨年9月、埼玉県越谷市の竜巻被災地の支援で知り合った人たちと一緒にチームを結成。活動を全国に広げた。

 「自分の経験から、頑張れとは言えない。みんなが一日でも早く普通の生活に戻れるようになればいい」と新沼さん。被災者の表情が和らぐまでもう数日、残るつもりだ。(馬場洋太)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

広島土砂災害の最新記事
一覧

  • 3市6小学校区の基礎調査公表 土砂災害防止法で広島県 (6/30)

     広島県は土砂災害防止法に基づき、広島、尾道、三次の3市の計6小学校区での基礎調査の結果をまとめた。 西区山田▽安佐北区久地▽佐伯区湯来西▽尾道市旧田熊▽三次市甲奴、小童―の各小学校区。崖崩れと土石流...

  • ひょっとこ踊り、地域に元気 八木の60〜80代 (6/21)

     2014年の広島土砂災害の被災地、広島市安佐南区八木地区で、地域に笑いを届けようと活動するグループがある。60〜80代でつくる「八木ひょっとこ踊り同好会」。昨年2月に結成し、近頃は地域外にも出向いて...

  • 土石流センサー改良し運用再開 安佐南区 (6/9)

     国土交通省太田川河川事務所は8日、5月に3度の誤作動を起こした広島市安佐南区八木町の土石流警報装置(ワイヤセンサー)の改良作業を終え、運用を再開した。通信線の1カ所に小動物がかんだとみられる傷が確認...

  • 土砂災害に備え避難訓練 緑井の自治会、経路確認 (6/4)

     2014年の広島土砂災害で11人が亡くなった広島市安佐南区緑井7丁目の八敷地区で3日、避難訓練があった。地元住民でつくる自治会「八敷福祉会」の主催。参加者約150人が避難所までの経路を確認した。 午...

  • 防災と復興、思い一つに 広島市安佐南区で集い (5/31)

     広島県と広島市は30日、土砂災害防止県民の集いを広島市安佐南区の区民文化センターで開いた。2014年8月の広島土砂災害の被災地で災害に強いまちづくりに取り組む住民組織の活動発表などがあり、市民たち約...