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現場に砂防ダム計画 広島土砂災害、完成ゼロ

2014/8/25 9:45

土石流が発生した広島市安佐南区八木地区。完成した砂防ダムはまだない

 広島市の土砂災害で多数の死者、行方不明者が出た安佐南区八木地区で、国土交通省がかねてから土石流の危険性を強く指摘し、少なくとも9基の砂防ダムを建設する計画を進めていたことが24日、分かった。実際には建設費などの問題で、1基も完成していない。砂防学の専門家は「簡易型ダムでも整備しておくべきだった」と指摘する。

 ▽9基予定、国が危険性を指摘

 太田川河川事務所によると、2007年度から八木地区で砂防ダムの整備を進めている。最初の2基は建設中で、15年度中には完成する予定。他にも5カ所の現地調査を済ませ、うち2カ所では土石流が起きた。

 今回の土石流で、死者、行方不明者計15人の八木4丁目。災害2日前の18日、国交省は地区北側の山中での測量やボーリング調査を9〜12月に実施すると、地元に説明した。八木ケ丘町内会の奥迫信治会長(76)は「早く砂防ダムを整備してくれていれば、相当違ったはずだ」と肩を落とす。

 国交省が広島県内で国直轄の砂防ダム整備に乗り出したのは01年度。県内で計32人の死者、行方不明者を出した1999年の「6・29豪雨災害」を受け広島、廿日市、大竹の3市で整備を始めた。ことし3月末までに53基造った。

 太田川河川事務所は「1基当たり数億円かかるが、予算は限られる」とし、「急勾配の住宅密集地の近くに造成するには、時間がかかる」と説明する。

 広島市は、今回の土砂災害で八木地区などの宅地に約50万立方メートルの土砂が流れ込んだと推定している。広島大大学院の海堀正博教授(砂防学)は「土石流は直撃を避けるだけでも、かなり被害が軽減できる」と強調。「費用や時間がかかる問題なら、土のうや石で応急ダムを整備することを考えてもいいのでは。そうした臨機応変な対応や専門人材の育成を考えるべきだ」と指摘している。(松本恭治、山田英和)


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