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一部集会所、避難適さず 2カ所は全壊、周知に課題

2014/9/4 0:31

土石流にのまれて倒壊した山田自治会集会所=8月20日、広島市安佐北区可部町桐原(撮影・井上貴博)

 広島市の土砂災害で犠牲になった安佐北区可部町桐原(とげ)の中川喜代子さん(86)は、自宅近くの山田自治会集会所に避難し、土石流にのみ込まれて命を落とした。災害時の避難場所(候補施設)の一つだったが、市は「土砂災害には適さない」と判断していた。集会所を「緊急時の身近な駆け込み場」と考える住民は多く、周知の在り方に見直しが求められる。

 山田自治会集会所は、8月20日未明の土石流にのまれて全壊した。屋根部分は道路を挟んで約6メートル離れた田んぼの中に落ちた。住民によると、集会所の隣に住んでいた中川さんは避難しようとして、入り口付近で被災。自宅も全壊した。

 同集会所は、市がホームページや広報誌で案内する候補施設の一つ。一覧表では、施設ごとに地震▽土砂▽高潮▽洪水―の四つの災害の避難所として適しているかどうかを示しているが、同集会所が該当するのは「高潮」「洪水」だけ。市消防局は「耐震性が十分ではなく、土石流の発生の恐れがある渓流域に入る」と説明する。

 「何かあったときは、まず集会所へ」と考えていた人は少なくない。山田自治会の橋国浩司会長(53)は災害が起きた日の朝、集会所への避難を検討していたが、そのとき既に土砂に流されていたという。土砂災害時の避難先は本来、同集会所から直線距離で約550メートル南西にある三入東小(三入東1丁目)だが、上り坂のため高齢者が歩いて向かうのはきついという。

 市が安佐南区と安佐北区で避難場所の候補施設としている集会所計169カ所のうち、土砂災害が起きたときの候補施設としているのは、安佐南区52カ所(65・8%)安佐北区52カ所(57・8%)にとどまる。今災害で犠牲者が出た安佐南区八木4丁目で候補施設とされ、全壊した広島県営緑ケ丘住宅集会所も「高潮」と「洪水」にしか適していない。

 広島経済大の松井一洋教授(災害情報論)は「命を守るために駆け込む避難場所を明確に示す必要がある」と指摘。「知らせる努力と知る努力が合わさってこそ、安全が確保できる。市は周知を徹底し、住民側も日ごろから関心を持つよう心掛けねばならない」と強調している。(畑山尚史、村上和生)


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