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土石流過去に数回 池田名誉教授が八木3丁目調査で痕跡を発見

2014/9/10 0:06

土石流であらわになった地層で、角が取れた花こう岩の「化石」を調べる池田名誉教授(撮影・天畠智則)

 災害地理学の第一人者、奈良大の池田碩(ひろし)名誉教授(75)が9日、広島市の土砂災害で甚大な被害が出た安佐南区八木3丁目について「過去、同規模の土石流が数回起きていた可能性が高い」との見解を示した。地元の「佐東町史」にも同様の記述があり、池田氏は「今回の災害は『未曽有』でも『想定外』でもない」と警鐘を鳴らしている。

 阿武山の斜面に沿って民家が立ち並ぶ八木3丁目の県営住宅周辺。花こう岩が風化した「まさ土」と呼ばれる崩れやすい土壌が広がり、今回の災害でも豪雨で表層のまさ土が流れて土石流を引き起こした。谷の両脇は大きく削られて地層があらわになっている。層には角が取れて丸くなった大小の花こう岩が多数あった。

 池田名誉教授はこれを「土石流の化石」と表現する。花こう岩の角が取れている理由について「過去に山頂付近から流れてきたため。このことからも当時の雨量の多さが分かる」と説明。地層の厚さや岩の状態などを考慮し「過去に今回と同規模の土石流があった」との見方を示した。

 調査ではさらに、より山頂に近い箇所で2〜3層構造の「土石流の化石」を発見した。

 池田名誉教授は「精査しないと分からないが土石流が過去、数回はあった」と結論付けた。

 「佐東町史」には、八木・緑井地区一帯の谷に分布する平地ができた経緯について「背後の花こう岩地帯から供給された土石流による」との記述がある。山際に街並みが広がった八木地区についてはさらに「幾度もの土石流が重なって形成されたと考えられる」としている。

 池田名誉教授は自然災害地の調査を半世紀続け、長崎県の雲仙普賢岳の噴火(1991年)や6・29豪雨災害(99年)、東日本大震災(2011年)などで現地調査を実施した。学者仲間からは「花こう岩の池田」と呼ばれ、著書に「花崗(かこう)岩地形の世界」「自然災害地研究」などがある。

 調査は8日に始め、八木3丁目や緑井8丁目の現場を見て回った。10日まで滞在し、結果を論文にまとめる予定という。(根石大輔)


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