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防災計画の「古さ」批判 広島市の検証部会、避難促し方焦点

2014/9/12 10:10

松井市長(手前右端)が出席し、冒頭部分だけ公開した検証部会の初会合

 広島市は緊急時に住民の生命をどう守るのか―。11日始まった土砂災害の初動対応の検証は、住民への避難の促し方が最大の焦点となる。専門家を交えた「避難対策等検証部会」では、市の行動の根拠となった地域防災計画そのものの「古さ」に批判が噴出。抜本的な見直しは避けられない。その前提として「あの時」に何が、なぜ起き、74人の死者・行方不明者を出すことにつながったのか。解き明かす厳しい姿勢が求められる。

 非公開の議論では、市消防局が8月19日夜から翌20日朝までの市の対応を時系列表で説明。地域防災計画では避難勧告に合わせて避難先の確保が求められているため「勧告を出すには避難所の開設準備などをしなければいけなかった」と述べたという。

 市の資料でみると、20日午前3時55分と4時15分、安佐南、安佐北の両消防署が各区に避難勧告の検討を進言。区は勧告を発令するまでに避難所の開設準備を急いだ状況が分かる。それでも大半の避難所は発令までに開かれなかった。

 部会員の牛山素行静岡大教授(災害情報学)は「避難勧告イコール避難所へ逃げるというわけではない」と指摘。「危険情報」として避難勧告をまず発信し、家屋の2階などへの避難を促す例を紹介した。

 ほかにも気象庁の「防災情報提供システム」を導入しながら雨量予測を見逃すなど、新システムを活用できていなかった点への疑問なども示された。

 市消防局はこの日、これまで避難勧告と同時刻とした避難所の開設時間を訂正し、大幅に開設が遅れた事実を認めた。安佐南、安佐北両区の勧告を防災行政無線で伝えたのが14〜35分後だったことも公表した。

 ただ資料では「水防対応に追われていた」という20日未明の状況を裏付ける情報は多数記載されているが、肝心の土砂災害の危険性をいつ認識し、避難勧告についてどう考えたかは見てとれない。

 住民へどう避難を促したかを伝える一覧表では、勧告発令から5時間後に送った聴覚障害者へのファクスを「実施」と明記した。この資料ありきの議論では真実は見えてこない。

 検証部会は今後、こうした初動対応が、被災地の住民の避難行動にどう影響したのかも調査を進める。検証部会と市には、真実を追求する責任がある。(和多正憲)


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