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自費で転居、支援届かず 不平等感も

2014/9/28 23:46

災害後に独自で借りた家で、敷金の領収書などを見る片倉さん

 広島市の土砂災害で自宅が被害に遭い、独自に賃貸住宅を借りた被災者に、公的支援が行き届いていない。「当面の生活を送れる一定の資力がある」とみなされたためだ。市が用意した住宅なら家賃の免除や家電製品の支給があるだけに、被災者間で不平等感を指摘する声もある。

 安佐南区緑井7丁目に住んでいた片倉妙子さん(56)は災害が起きた8月20日、建築業の夫(60)と大学3年の三女(21)とともに、同区川内の長女方に身を寄せた。やはり避難してきた次女一家も含め11人が集まったため、22日、不動産会社の仲介で緑井6丁目の賃貸住宅に移った。

 2LDKで家賃は月8万円。敷金や仲介手数料、火災保険料も含めると初期費用は46万3400円に。布団は自宅から運び出し、家電製品は親類から譲ってもらった。自宅はその後、床下浸水に認定されたという。

 市が用意した公営住宅や民間の借り上げ住宅を待てば、家賃は無料で、敷金や仲介手数料も掛からなかった。片倉さんは「現状では支援が受けられないと市に言われた。毎月の家賃で家計は赤字になるかもしれないけど、今更、市の借り上げ住宅に引っ越す気力もない」とうなだれる。

 片倉さんの隣に住んでいて、床下に土砂が流入したという中丸益好さん(70)も、自分で見つけた月7万5千円の住宅に越した。「家賃を払うために、来月から仕事を探さなければ。何らかの支援を」と訴える。

 市は災害発生後、国、広島県、市の公営住宅を用意し、8月24日から順次、入居募集を始めた。合わせて、地元の不動産関連団体がリストアップした物件もあっせん。いずれも床下浸水以上の被害なら当面半年は無料で暮らせる。今月25日までに公的、民間で計約220戸の入居が決まったという。市はこれらの住宅には冷蔵庫や洗濯機などを無料で提供している。

 ただ「自力避難者」はいずれも対象外。住宅政策課は「避難先を確保できない人の支援を優先した」と説明。被災者が独自に用意した物件は、市の用意した住宅より好条件の場合もあり、支援により逆に不平等感が生じる可能性も指摘する。

 同課は「まずは義援金の申請状況などから個々の状況を把握する。公平性に配慮し、どのような対応が可能か検討したい」としている。


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