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家屋損壊判定の見直し95件 市、再調査要望相次ぐ

2014/9/29 23:16

基礎部分が崩れた家屋を調査する市職員たち=安佐北区可部東6丁目(撮影・宮原滋)

 広島市の土砂災害の罹災(りさい)証明書をめぐり、市の判定に対して再調査を求めるケースが相次いでいることが29日、分かった。土砂に囲まれた家屋の被害を主に外観から判断した手法が精度を欠いたためで、これまでに95件の判定が見直しとなった。市は「判定に疑問があれば再調査の相談を」としている。

 市は被害が大きい順に、全壊▽大規模半壊▽半壊▽床上浸水▽床下浸水▽一部破損―の6段階に判定し、罹災証明書を交付する。水害の場合は内閣府の認定基準で、現地調査は市職員が外観から住宅に入った土、水の量を推定する。

 再調査では、住民に立ち会いを求めて内部に入り、損壊状況や家の傾き方を見る。被災者の申し立てがなければ実施されない。安佐南、安佐北両区によると、28日までに交付した罹災証明書4696件のうち、135件の再調査依頼を受けた。同日までに134件を終え、95件の判定を見直したという。

 安佐北区可部東6丁目の堀和彦さん(74)方は、3回目の調査で大規模半壊から全壊となった。土石流で住宅の基礎まで削れて傾いていたが、「土砂で家の内部を調査できない」とし、再調査でも大規模半壊は覆らなかった。

 しかし、20日に現地視察した松井一実市長に直訴し、翌21日に3度目の調査。内部まで調べてもらえ全壊に変更された。大規模半壊を含む半壊は、内閣府基準で「補修すれば元通りに使用できる」とされる。堀さんは「基礎が壊れていて直しても住めるわけがない。正しい結果が出てよかった」と胸をなで下ろした。

 被災当時の写真で判定が覆ったケースもあった。一部破損だった安佐南区八木3丁目の女性(65)は、土砂が床上に流れ込んだ写真を区役所に持ち込み、床上浸水となった。女性は「自分で動かないと、泣き寝入りするしかなかった。行政は何もしてくれない」と憤る。

 県、市の災害見舞金の額は、罹災証明書の内容に応じて差がある。国などの被災者生活再建支援金の支給も「大規模半壊」以上に認められている。市は両区役所で罹災証明書の発行と再調査に応じている。

 広島県警は29日、約400人態勢で遺留品の捜索などを続けた。市災害対策本部によると、安佐南区の佐東公民館や梅林小など6カ所に26世帯48人(28日午後10時現在)が避難している。(根石大輔、山本乃輔)


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