地方経済

【フィーチャー】イケア予定地、進展見えず 広島駅北の二葉の里地区、落札から7年近く

2020/2/20
駐車場としての利用が続くイケアの出店予定地。手前右のビルはイズミ本社(撮影・田中慎二)

駐車場としての利用が続くイケアの出店予定地。手前右のビルはイズミ本社(撮影・田中慎二)

 再開発が進むJR広島駅北口の二葉の里地区(広島市東区)で、スウェーデン家具大手イケアグループの日本法人イケア・ジャパン(千葉県船橋市)の新店予定地が取り残されている。国有地の落札から6月で7年。出店を前提にした取得だったが、時間貸し駐車場のまま、店を建てる気配はない。「広島の玄関口」のまちづくりへ、住民の懸念が広がっている。

 ヘレン・フォン・ライス社長は20日、東京都心部で攻勢をかける姿勢を鮮明にした。東京・渋谷にこの日オープンした初の法人向け店舗であった事業方針発表会。4月の原宿店オープンにも触れ「まずは東京でいろいろと学んでいきたい」と強調した。

 ▽時期など示さず

 イケアグループは近年、ニューヨーク、ロンドン、パリと世界各国の大都市で出店を加速している。発表会で広島への出店について質問すると、ライス社長は「広島の多くの人に店舗で(商品を)提供していきたい」と意欲を見せた。だが「タイミングはまだ分からない」と時期や店の概要は示さなかった。

 イケア・ジャパンの広島への出店表明は、2013年6月にさかのぼる。国有地の一般競争入札で1・88ヘクタールを47億550万円で落札した。二葉の里地区は当時、地場流通大手イズミの本社が建設中で、再開発事業が動きだしたばかり。中四国地方に初めてイケアができると話題を呼んだ。

 しかし―。6年8カ月が過ぎても着工時期の見通しすら立たない。一帯には広島東署や複合ビル、分譲マンションが次々と完成した。イケアの計画地は15年から時間貸しの平面駐車場として使われている。周辺が変貌した中で、ちぐはぐな感じは否めない。

 住民は不満を募らせている。「イケアから地元に対する説明は全くない」とあきれるのは地元の尾長地区連合町内会の山城政之会長(82)。「周辺のまちづくりがほぼ終わったのに、ここだけ大きな空白になっている。早くはっきりさせてほしい」と求める。

 ▽業績不振が背景か

 イケアが動かない背景にあるとみられるのが、近年の業績不振だ。19年8月期の営業損失は8億5900万円で3年連続の赤字。ある信用調査会社は国内最大手ニトリとの競合が原因とみる。イケアが出店すれば広島でもニトリと激しい競争になる。店舗を建設するコストの上昇や人手不足も逆風だろう。

 中国財務局によると、イケアの所有地は「業務・商業等の機能が複合した土地利用」との地区計画を前提に売った。ただ整備までの期間や転売に制限はない。同局は「計画に沿った整備を期待している」と説明する。街づくりを担う市都市機能調整部は「イケアが商業施設を開業すると考えており、今は状況を見守りたい」とする。

 駅前の交通を便利にする広島高速5号は、14年に17年度としていた完成時期が22年度にずれ込んでいる。地場の不動産関係者からは「道路の整備が遅れ、行政はイケアに強く言いにくいのでは」との声も漏れる。

 目覚ましい発展で「エキキタ」と親しまれるようになった同地区。その一等地の活用が長期にわたり停滞するのは広島都市圏の損失だ。(秋吉正哉、境信重)

 【記者の目】活性化の一翼 見通し説明を

 取材で地元の住民からこんな声を聞いた。「最近は近所でもほとんど話題にならない」。新店への期待はしぼんでいる。イケアは開業時期を慎重に判断しているとしても、一帯のにぎわいづくりの一翼を担う立場で用地を得たはずだ。当初の構想と懸け離れた現状と今後の見通しを説明する責任がある。(秋吉正哉)


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  • 東京・渋谷の新店で法人向けのサービスをアピールするライス社長

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