地方経済

新型コロナで給食停止 行き場なき生乳 酪農家ら苦悩

2020/3/12
広島県内から集まった生乳をためるタンクが並ぶ広酪の貯乳施設(三次市)

広島県内から集まった生乳をためるタンクが並ぶ広酪の貯乳施設(三次市)

 新型コロナウイルス対策の「全国一斉休校」で、給食用の生乳が突然行き場を失った。中国地方の業界関係者は脱脂粉乳やバターなど加工用に回して何とか廃棄は避けている。ただ飲用より取引価格が下がるため、酪農家には収入減の悩みが募る。少しでも早い需要の回復を願っている。

 ▽加工に転用 安価取引で収入減

 農家から生乳の販売を受託する広島県酪農業協同組合(広酪、三次市)には、県内ほぼ全ての生産者115戸から毎日約118トンが集まる。うち給食用の約44トンの需要が消えた。

 広酪によると、乳牛の健康のため搾乳は止められない。このため中国5県の流通を担う中国生乳販売農業協同組合連合会(岡山市北区)と連携し、急きょ仕向け先を調整。加工用として普段は取引がない熊本県のメーカーに送るなど緊急対応をしている。

 生乳が安い加工用に多く回ることで、3月分の農家の収入は1キロ当たり約3円下がる見通し。1日1トン生産する農家なら月約9万円の減収となる。県内の50代の酪農家は「もともと利益は非常に薄く、経営へのダメージは大きい」と漏らす。政府は10日決めた経済対策に、酪農家や乳業メーカーの支援を盛り込んだ。

 市販の牛乳の需要が増えれば飲用向けが増え、損失の圧縮につながる。スーパーのフジ(松山市)は11日、中四国地方でフェアを始めた。4月5日までの予定で牛乳の販売を拡大している。

 広酪の西中晃専務は「料理にも使って市販の牛乳をたくさん消費してほしい」と望む。ただし小売り側が安売りのためにメーカーからの買い取り価格を不当に抑えては支援につながらない。さらに現状が長引けば脱脂粉乳の過剰在庫がメーカーの負担となり、加工用のニーズも減りかねないという。(新本恭子)


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