地方経済

中小「非正規」しわ寄せ マツダ生産調整で派遣切り

2020/5/7
期間従業員たちが暮らすマツダの寮(広島市南区)

期間従業員たちが暮らすマツダの寮(広島市南区)

 新型コロナウイルスの感染拡大でマツダの自動車生産が減り、地場の中小部品メーカーで「派遣切り」が起きている。経営の基盤が弱い会社の非正規労働者が真っ先にしわ寄せを受けている形だ。社内の雇用を守る姿勢のマツダでも、期間従業員から不安の声が漏れる。

 ▽4月生産、計画の8割減 「会社 存続できぬ」

 「辞めさせたくなかったが、仕事がない。本当に申し訳なかった」。広島県内の中小メーカーの社長は苦渋の表情を浮かべた。4月上旬、従業員の1割強を占める全派遣社員の契約を打ち切った。涙を浮かべて説明を聞く人もいたという。

 原因はマツダの生産調整だ。4月の生産は当初計画より8割減。資金繰りが厳しくなり、人件費を削らざるを得なかった。社長は「生産規模に見合う態勢にしないと会社が存続できない」と苦しい立場を説明する。

 自動車関連には採用の抑制が広がる。求人誌を発行する地場企業の社長は「これまで採用意欲が高い業種だったが急ブレーキがかかった。他産業より落ち込みが目立つ」と受け止める。人材派遣会社は「部品メーカーには解雇や雇い止めが相次いでいる」と明かす。

 マツダは4月末としていた国内2工場の生産調整の期限を5月29日に延期した。従業員を休業させた場合に国が支給する雇用調整助成金を申請しており、期間従業員を含めて雇用を守る姿勢だ。ただ不安は根強い。30代の期間従業員の男性は「状況が改善しなければ最初に切られる。いつまで働けるか」と心配する。

 非正規労働者は「雇用の調整弁」になりやすい。2008年のリーマン・ショック後はマツダを含め多くの企業が派遣を減らし、大量の失職者が生まれた。

 個人加入の労働組合スクラムユニオン・ひろしま(広島市東区)には、自動車部品メーカー勤務とみられる2人から「会社に辞めてくれと言われた。派遣切りされそう」と相談があったという。土屋信三委員長は「新型コロナが経済に与える影響はリーマン時より深刻かもしれない。解雇の問題が増えそうだ」と危機感を募らせる。(東谷和平) 

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