地方経済

【コロナ危機 苦境を越える】運行再開、感染防止を優先 中国地方の交通各社、採算は二の次に

2020/6/9 22:47
高速バスの車内で、乗客に座席を空けてもらうための掲示をする広交観光の社員

高速バスの車内で、乗客に座席を空けてもらうための掲示をする広交観光の社員

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う他県への移動自粛が解除され、路面電車や高速バスなど中国地方の交通が元に戻りつつある。事業者は激減した乗客数の回復を期待する一方で「3密」を避けねばならないジレンマを抱える。各社は空席を設けるなど採算よりも感染の防止を優先している。

 【ダイジェスト】新型コロナウイルス感染拡大 危機の中の中国地方


 ▽混雑情報公表/バス座席窓側のみ/消毒徹底

 広島電鉄(広島市中区)は9日、土日曜と祝日の路面電車の減便を13日にやめると発表した。減便は4月下旬に始め、5月中旬に平日ダイヤを通常に戻した。客数が回復する中、輸送力を高め、密集を避ける必要があると全面解除を判断した。

 広電は既に、路線バスを含めて午前中の混雑状況をホームページ(HP)で公表している。電車は1時間ごと、バスは30分ごとに「混雑」「やや空いている」など4段階で表示。カード型IC乗車券の利用状況と定員や座席数を比べ、週1回更新する。「車内で利用客に詰めて座るよう案内できなくなった。混み合う時間帯を避ける協力をお願いしたい」とする。

 広交観光(広島市西区)は12日から、運休していた高速バス6路線のうち5路線を順次再開する。座席は各列4席のうち両端の窓側2席に絞り、通路側2席は「安心空間」として空ける。乗客同士のソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ狙いだ。

 運転席後ろの最前列は4席とも空ける。売り上げにつながるのは全36席のうち16席にとどまる。担当者は「採算は厳しくなるが、3密は避けねばならない。安心感を持ってもらうことを優先する」と説明する。運転手は、乗車券の確認など接客時にはフェースシールドを着ける。

 各社は消毒にも力を入れる。備北交通(庄原市)は、ウイルスを抑える効果がある二酸化塩素ガスの発生器を導入した。バスの車内を定期的に消毒する。車内に対策済みの掲示をして安全をアピールする。

 瀬戸内海汽船(南区)はフェリー2隻にオゾン発生装置を計3台増やした。観光客が戻らなければ利用は本格的に回復しない。航路事業部の川渕紀和統括次長は「気軽に乗ってもらうには、まず安全」と強調する。今後本格化する旅行会社のツアーで使ってもらうためにも、必要な対策となる。

 ただ、乗客が戻れば社会的距離を取りづらくなる可能性がある。川渕統括次長は「乗客数に上限を設ける検討が必要になる」とみている。(筒井晴信) 

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